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タカラヅカの娘役を追いかけて浪費する女――観劇代は「家賃レベル」

『シン・浪費図鑑ー悪友たちのないしょ話2ー』

家賃レベルの観劇代

 かくして私のヅカオタ生活は幕を開けた。上を見たらキリがないので、私なんてたいしたことはない。とはいえ多分、「同じ公演を1ヶ月半で10回観る」は普通の感覚で言えば普通ではないだろうと想像がつく。贔屓の組の公演中は週2ペースで日比谷の劇場に通い、家賃レベルの出費をすることになる。平日夜公演の開演時間は18時半。定時で上がれば間に合う。絶対に残業したくない……というかできないから、その時期の仕事効率はめちゃくちゃ上がる。これはガチ。

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「どうして同じ演目を何度も観るの?」と聞かれても「好きだから」でしかない。(舞台の上の)大好きな人と同じ空間で同じ時間を分かち合えるなんて幸せに決まってるでしょ。観れば観るほど、私と彼女が一緒に過ごした人生の時間は重なっていくんですよ。すごくないですか? すごい。尊い。最高!

 お金をかけたらそれ相応、いやそれ以上の幸福が得られることを知ってしまったから、金遣いは確実に荒くなった。例えば、ちゃぴさん(愛希さんのニックネーム)に会うために、2週連続日帰りで兵庫県宝塚市の大劇場に行くとする。チケット代は約8000円、新幹線は往復3万円。それが2セット。これだけでも足して7万6000円。高いとは思わない。「頑張れば日帰りできるなんてありがたいな~」が先に来る。新幹線、サンキューな。これからもよろしく。

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 彼女が主役のミュージックパフォーマンス――いわゆるディナーショーが決まった時は本当にうれしかった。喜び勇んで席を取った。『Wonder of Love』という公演名も最高、ちゃぴさんにぴったりだ。チケット代、2万5700円。さすが、一流ホテルでやるだけある。だけど、高いとは思わない。お財布へのそれなりのダメージすら幸せな痛みだ。大好きな女の子が最初から最後まで真ん中で歌って踊る、夢のような一夜だった。

 劇場に行く度に、併設ショップで330円のブロマイドや160円のポストカードを買ってしまう。部屋の中には同じものがどんどん増えていく。もう持ってるのはわかってるんです。買う度に表情が変わるわけではないのもわかってる。でも何か、買いたいんだもん、愛希さん名義のものを。今日も舞台に立ってくれていることに感謝を込めて。ファンが愛を示す方法はそれしかない。