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「人気があるというのは、逆にいえば実力がないんです」

 そういえばかつて、小泉進次郎はこんなことをいっている。

「人気があるというのは、逆にいえば実力がないんです」、「よく広告塔とか、客寄せパンダとか、実力もないのに人気だけとか言われますけど、ぼくがそのとおりだと思いますもの」(注1)

初めての選挙(2009年)©︎文藝春秋

 議員となって2年目(2010年)の、田崎史郎との対談での発言である。1年生議員だった当時にあっては殊勝な言葉に聞こえるが、8年経ったいまとなって読むと、変わらなさに微笑ましくなる。ちなみに同じボンボンでも安倍晋三は、今の小泉進次郎と同じ議員キャリアの年数のとき、内閣官房副長官として北朝鮮を訪問し拉致被害者5人の帰国を実現している。

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「ただの男前の青二才」ではない理由

 初当選するなり、何の実績もないうちから「将来の総理大臣」との呼び声がかかった小泉進次郎。そこまで期待されたのは若くて、顔がいいからだ。たとえば2年生議員当時、辻元清美は「細野豪志君には『あなたから男前を取ったら何が残る』と時々言っているけど、進次郎さんにも同じことを言いたい」(注2)と評している。

©︎文藝春秋

 しかしただの男前の青二才ではなく、人を惹きつける技術をもっていた。長く小泉進次郎を取材しているノンフィクションライター・常井健一は、彼のマナー術・処世術をビジネス誌「プレジデント」(2015.5.4号)に書いている。

 たとえば名刺交換の際には、相手の名前をしっかり読んで、さらに「この苗字、珍しいですね。どちらの方ですか」などと話題をひろげるという。こうして打ち解けやすくするのだが、記憶の定着もよくなるだろう。また記者相手には「○○さんのその質問に対しては……」などと相手の名前を呼ぶという。実際、週刊文春のバックナンバーを漁ってみると女性記者に「この名字は、政界にも何人かいるけど、もしかしてご親戚?」と話しかけている(注2)。