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2017/01/25

――ウェブの仕事は24時間体制というイメージがありますが、無理のない労働環境を作ろうとしているんですね。

 おっしゃるとおりです。ここはまだ課題が多く、つねに悩んでいるところです。やはり組織として健やかに働ける環境を整えないと、一時は勢いが出ても、あるポイントで成長は止まってしまいます。

 

――いまは組織戦?

 仕組みづくりの土台はある程度できてきました。

 基本は各記者・編集者の個人戦で、企画を考えて書いて入稿まで行い、寄せられたコメントを見て振り返るというサイクルです。そこまでが独力でできるメンバーが揃っているので、週1回の企画会議以外は安心して放置プレーができます(笑)。

 記事チェックももちろんしますが、事後よりも事前、企画会議で方向性を細かくチェックすることに重心を置いています。イメージとしてはコンサルティングファームみたいに各自やチームごとにプロジェクトを任される形に近いかもしれません。特集によりチームは組むことはあっても、基本は個人でバイネームでやっていくという感じです。私は全体のバランスを取る、という役割です。

 ただし、今後NewsPicksをさらに永続的に成長させるには、団体戦が重要になってきますので、育成システムやチームプレーの仕組みなどをより磨き上げなければいけません。

 自分で言うのもなんですが(笑)、私は0を1にすることはかなり得意だと思います。ただ、1を10にするのは向いているのかまだわかりませんので、自分にとっても大きなチャレンジです。

もっと「東海岸」に進攻したいです

――それでも目標にはまだまだ到達していない、とのことでしたが、今のNewsPicksに足りないものは?

 読者も増えてきているとはいえ、まだまだメディア関係者内での注目に留まっているのかなとも感じています。掲げているミッションは「経済情報で、世界をかえる」ですので、日本で代表的なメディアになったとしてもまだ50%にすぎません。その意味で、今の達成度はせいぜい10〜20%というところです。

 昨年12月時点で会員ユーザー数は200万になりましたが、まず300万はいかないといけないでしょうし、有料会員も3万人超ですが、最低10万人には達しないと、メディアとしての影響力は限られます。認知が局所的なのも問題です。

 NewsPicksは関東圏が今のところ中心ですが、東京の中だけでも渋谷や六本木など「西海岸」にはだいぶ浸透しましたが、丸の内、霞が関といったエスタブリッシュな「東海岸」では「NewsPicks? 何それ?」という方がまだ多い状況です。2016年の目標は東海岸の攻略だったのですが、まだまだですね。今年はもっと攻めます。

 そのために必要なことは、話題になりそうな大企業の記事をしっかり書いて、大企業の方に読んでもらうことですね。そうすれば、周囲の方にも自然と浸透していくのだと思います。

――とはいえ西海岸のお客さんをつなぎとめつつ東海岸にも読まれるようにするのは……

 難しいですね。西と東の融合がわれわれの課題です。たとえば「大企業×スタートアップ」のコラボレーション、オープンイノベーションは日本全体でも求められていることですので、それを伝えつつ体現するようなメディアになれればと思います。東京の「西海岸」と「東海岸」は、人も文化もかなり分断していますが、ここがつながらないと、イノベーションは生まれてきません。その両海岸をつなぐハブになりたいと思っています。

 

――文春は典型的な東海岸カルチャーですから、ロゴやデザインも含めて西海岸のノリをNewsPicksさんに学びたいです。

 コンビを組めたらいいですね(笑)。私ももともと東海岸カルチャーの人間で、学生時代から「週刊文春」も「文藝春秋」も毎号読んでいますから。

――ありがとうございます! では西から東を目指すNewsPicksの、現在のブランドを一言で表すと?

 社内では「経済クオリティプラットフォーム」というコンセプトを掲げています。今のNewsPicksは、44歳以下の読者が8割を占めているのですが、新しい世代のリーダーたちに読まれるメディアになりたいと思っています。

 NewsPicksは、今までに例がない新時代のプラットフォームです。

 記者や編集者たちがコンテンツを創る従来型のメディアとしての顔に加えて、読者(ピッカー)のコメントがついたり、自分の興味のあるニュースを選べたり、読者のみなさんと一緒にサービスを創っていくCGM(Consumer Generated Media:消費者参加でつくり上げるメディア)の要素もあります。さらに、90のメディアパートナーの方々のコンテンツをキュレーションして、ワンストップで読めるようになっています。

 いわば、「日本3.0」時代を代表する経済プラットフォームを目指しています。

――「日本3.0」、その心は?

1月末に、『日本3.0』というタイトルの本を発売するのです(笑)。宣伝っぽくてすいません。

日本3.0 2020年の人生戦略

佐々木 紀彦(著)

幻冬舎
2017年1月25日 発売

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ささき・のりひこ NewsPicks編集長。1979年福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒。スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当し、2012年11月に「東洋経済オンライン」編集長に就任。2014年7月から現職。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』『日本3.0 2020年の人生戦略』。

写真=釜谷洋史

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