多発性骨髄腫で余命3年と宣告された35歳のカメラマンが2歳の息子に伝えたいことを綴った『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)が発売2カ月で5刷4万2000部となった。
著者である幡野広志さんの写真展「優しい写真」が2日から都内で開かれる。「優くん」という名前の息子さんが生まれた日から撮り続けてきた写真に、会場で会える。「人の息子の写真なんか見てくれるかな」と照れるが、幡野さんの写真は、限りなく優しい。
今回、数ある写真の中から印象深い日の写真を選んだ。
「息子が生まれた日、自分の病気がわかった日。それから、今年の3月頃の、息子が泣いている写真も忘れがたいです」
その日、幡野さんの奥さんがコンビニに出かけた。母がいないことに気づいた優くんは火がついたように泣き出した。
「いずれ数年後に僕がいなくなったら、こうやって泣いちゃうんだろうなと思って……。今でもその写真を見ると胸が痛みます」
なんでも大好きなパパの真似をしたがる優くん。幡野さんがパソコンで写真の編集作業をしていると膝の上に座ってずっと見ているという。優くんの笑顔は、写真を見る者まで自然に笑顔にしてしまう。
「僕が死んだら、息子を“かわいそうな子”にしたがる人がきっといると思う。でも、僕の記憶を、たくさんの楽しい記憶で上書きして生きていってほしいなと思っています」
INFORMATION
『優しい写真』
11月2日(金)~15日(木)
ソニーイメージングギャラリー 入場無料