文春オンライン

男子チームで猛特訓 バドミントン・大堀彩が挑戦する2つの“壁”

東京オリンピックの出場枠は2つだけ

2018/11/05

いまは男子と完全に一緒の練習ですね

 トナミ運輸には女子チームがない。そのため、現在は男子チームの選手達に交じってトレーニングを続けている。

「いまは男子と完全に一緒の練習ですね。本当に男子の練習にポンと入れてもらっている感じで。メニューも特に女子だから……という特別な扱いはないですね(笑)。

 もちろん最初に移籍するときは不安だったんですけど、中高時代から男女で同じ環境で毎日一緒に練習していたので、男子の先輩に相手をしてもらったこともありました。ですから、男子の中で練習することへの抵抗はそんなになかったですね」

ADVERTISEMENT

 

 環境的には難しい部分もあるが、その分、得るものも大きい。特に成長を感じたのが、メンタル面での部分だという。

「以前は試合で失敗すると、ネガティブな気分になってしまうことも多かったんです。でも、常に男子選手と練習している分、それが自信にもつながっている気がします。そういう意味では常にポジティブでいられるようにはなってきたかなと思います」

 

男子は女子よりラリーが短く終わってしまう

 一方で、技術面では予想外の部分に戸惑いを感じる瞬間もあった。

「男子選手って女子選手よりラリーが少ないんですよ。スマッシュが女子より速い分、ラリーが短く終わってしまう。移籍してずっと男子の先輩たちと練習をしていて、はじめて女子の試合に行ったときに、自分の中での課題が出てきました。

 女子の長いラリーとか、ぎりぎりに落としてくるドロップショットとかは、男子選手は絶対にしてこない。当然、速いショットには慣れてきている部分はあったんですけど、長いラリーについていけない自分にもそこで初めて気づいたんです。練習をしているときにはシャトルを追うのに必死で、どれだけラリーしているかとか考えていなかったので、ちょっと驚きました」

 

 いま大堀はそんな風に独自の環境を活かしつつ、様々な試行錯誤を経て先を走る2人に追いつくため、トレーニングに励んでいる。ここ数カ月、ほとんど休日はあった記憶がないという。海外転戦に備えた移動に加え、大会中は自分の試合がなくてもチームの応援にもいかなければならない。趣味は「寝ることかなぁ」と笑う。