「殴ってやりたい」の見出しから、何かが変わったか?
そして3日後、無事解放された安田氏の家族が報道陣の取材に答えた。
毎日新聞は「家族万歳そして涙」(2004年4月18日)
読売新聞は「父『殴ってやりたい』」(同)
報道陣に「何と声を掛けたいですか」と問われた安田氏の父は「バカ野郎、と殴ってやりたい」と答えた。それでも毎日新聞は「家族万歳そして涙」と書いたが、先の人質3名にも批判的だった読売は「父 『殴ってやりたい』」の部分を見出しにした。読売も紙面で安田氏を叱っていたのだろう。新聞によってどこを大きく報じるのかが面白い。
そして今回、2018年である。
安田純平氏の会見(11月2日)を新聞各紙はどう伝えたか。翌日の紙面を見てみよう。
朝日。一面「安田さん『迷惑かけた 批判は当然』」。社会面「紛争地を見に行く存在、必要」
毎日。一面「紛争地の取材必要」。社会面「帰すか、殺してくれ」
東京。一面「紛争地取材は必要」。社会面「入国で『凡ミス』」「拘束『自業自得』」「虐待『彼らのゲーム』」
日経。社会面「紛争地取材は必要」
産経。一面「安田さん『批判当然』」。社会面「事実究明 私の責任」
読売。社会面「拘束『完全に私のミス』」
どうだろうか。同じ会見を見て、安田氏のどの言葉を見出しにするのか。ここでも新聞の色が見える。
見出しから垣間見える、紛争地で人質になった人に対する態度
「紛争地の取材必要」をメインにしたのは毎日、東京、日経。「完全に私のミス」を立たせたのは読売。朝日はどちらも載せていた。
読売は「拘束『完全に私のミス』」の見出しから、一貫して紛争地で人質になった人に対して批判的であることが行間からうかがえる。
2004年当時の家族の報道を読みなおすと、安田氏が今回の会見でまず謝罪をしたのもわかる気がする。当時の「家族に対する世間の空気」がフラッシュバックしたに違いない。