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RADWIMPS騒動から中核派動画まで なぜ「愛国」「極左」とエンタメが急接近するのか?

2019年の論点100

2018/11/20
『文藝春秋オピニオン2019年の論点100』掲載

 政治とエンタメの距離が、近年ますます近づいている。2018年4月、フォークデュオのゆずが、新曲「ガイコクジンノトモダチ」で国旗・国歌に言及して、「君と見た靖国の桜はキレイでした」「どうして胸を張っちゃいけないのか?」などと歌い、政治的な内容ではないかと物議を醸した。また同年6月にも、ロックバンドのRADWIMPSが、新曲「HINOMARU」で「気高きこの御国の御霊」「さぁいざゆかん 日出づる国の 御名の下に」などと歌って、新しい愛国ソングではないかと話題をさらった。これまでも愛国的な音楽は存在したものの、ノンポリだと思われていた若手や中堅の有名アーティストたちが、何の前触れもなく、このような作品を立て続けに発表したことはなかった。そのため、大きな注目を集めたのである。

政治的エンタメとは何か?

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 政治色のあるエンタメ(政治的エンタメ)は、国家や政党による「上からの動員・プロパガンダ」だと考えられやすい。たしかに、戦時中などにそうした例はあった。ただ、営利企業や制作者や民衆による「下からの便乗・参加」も無視できない。強制されるまでもなく、作り手は売れるものに飛びつき、消費者は楽しいものに群がる。近年の研究でも、たとえば日本の軍歌は、日清戦争からアジア太平洋戦争にいたるまで、政府や軍部の命令よりも、むしろ企業や民衆の自発的な関与によって大量に生み出されたことが明らかになっている。