新聞記者には、うまく擬態できていなかった
トミヤマ 私としては、そんな涼美さんが完全に自分を殺して服を着たエピソードを知りたいです。
鈴木 自分を殺すっていうか、キャバクラでもAVでも用意されたもの着てましたよ。
トミヤマ そっか。それは自分の趣味とか関係ない服ですもんね。
鈴木 まったく関係ない。とくにAVの衣装ってダサいんですよ。男はダサめのほうが興奮するから。で、ちょっとブラ見えそう、みたいな。コンサバ系がモテるのと一緒です。
トミヤマ 隙がある感じね。
鈴木 でもトミヤマさんが聞きたいのは、そういうことじゃないですよね。私のキャバとかAVはバイト先の制服みたいなものだし。
トミヤマ うん、私は自分的にしっくりこない服を着て1日過ごすと、すごく元気がなくなるんです。そういう経験ってあります?
鈴木 爪が折れてると超テンション下がります。
トミヤマ そうそう、そういうこと! 新聞社時代に新聞記者っぽい格好するのはイヤじゃなかった?
鈴木 イヤっていうか、私としては普通のOLと同じように百貨店とかで買ってたのに、都庁でのあだ名がキャバ嬢だったり、なんか醸し出ちゃうものがあったんだと思います。いま考えると、うまく擬態できてなかった(笑)。
トミヤマ 擬態だとは思ってたんですね。
鈴木 やっぱり私は新聞社とはいえ、普通の会社員になることにすごい抵抗があって。イケてると思ってた自分が、その他大勢と同じように就活して会社員か~っていう。高校のときは超黒かったし、パラパラとか80曲くらい踊れたし、大学受験でもセンター試験は満点だったのに。
トミヤマ それはたしかに普通の会社員イメージとは相容れないわ(笑)。
鈴木 子どもの頃に天才児って言われてた人が、20歳過ぎればただの人みたいな。だから新聞社に入ったばっかりの頃は、「もう人生終わった」みたいな感じですごい悲観してました。それで「私ただの新聞記者じゃないんです」アピールをしてたんだと思います。爪とか電卓とか、ICレコーダーとかも全部デコりまくって。
トミヤマ ICレコーダーをデコる(笑)。
鈴木 失くしてもすぐに見つかる(笑)。なので、そういう周囲に対する存在感のアピールはトミヤマさんとも通じるかなって思いますけどね。
トミヤマ うん、通じますねそれは。デコって自分らしさを残しておくことで、ようやく息ができる。それはもう、モテとかじゃないもんね。
鈴木 モテを最優先にしてたら、ゴテゴテの爪とか乳見えてる服とかじゃなくて、もっと地味な格好しますよ。なので私の場合は、より男の性欲を喚起させる感じ(笑)。職場とか取材先で「あいつと1回やりてえ」って思わせるような。
トミヤマ それはモテよりさらに私から遠いわ(笑)。
鈴木 たぶんトミヤマさんが一番思われたくないやつですよね。
トミヤマ 思われたくないっていうか、興味がない。
鈴木 じゃあ職場じゃなくても、グループで遊んでる男の人がやりたい女の話をしていて、自分の名前が出てこなかったら悔しくない?
トミヤマ まったく悔しくない。
鈴木 私は超屈辱ですよ。
トミヤマ そうなのか~。