ファッションのチャンネルが1つしかないのはつまんない
鈴木 そもそも、なんで新しいファッションに挑戦しようと思ったんですか?
トミヤマ 40歳を間近に控えてこれからの人生を考えたときに、いつまでも変な服を着たり、おもしろばかりを追求して、ファッションのチャンネルが1つしかないのはつまんないなって思ったの。
鈴木 それで無難なコンサバ系にいったのはどうして?
トミヤマ 冒険してチャンネルを増やすなら、自分からは一番遠い、それまでつまらないなって思ってたところを攻めたほうがやりがいもあるし、どうせなら苦手なことに挑戦しようって。そのほうがおもしろくなりそうでしょ。
鈴木 ファッションで「おもしろい」っていうのが、私にはよくわからない(笑)。
トミヤマ 涼美さんは、ウケたいって思わない?
鈴木 思わないですよ~。あ、でも過剰にギャルだった頃は、外の世界の人たち、それこそ外国の人から見たら、だいぶおもしろい生き物って思われてたけど(笑)。
トミヤマ 気持ち的にはそれと同じなのかな?
鈴木 いや、違いますね。ギャルはおもしろいと思われたいわけじゃなくて、普通にそれがイケてると思ってやってましたから。
トミヤマ そうか。私はどっちかって言うとウケたい。変な服着てラーメン屋とか行って、お会計のときに「変な服着てるね」って言われるのがうれしい。
鈴木 え~。それだったら「かわいいね」とか「素敵ですね」でいいじゃないですか。
トミヤマ だって「かわいいね」って言われるのは、私の本体に向けて発せられる言葉っぽいしょ。でも服がおもしろいっていうのは、顔面偏差値も年齢も関係ない。とにかく私は、服で世間に爪痕を残したいって思ってしまうんです。
鈴木 でも世間から「おもしろい」って思われても、男性の性欲を喚起するわけじゃないから、財布が開かないじゃないですか。
トミヤマ うん、そうだよ。でもそれでいいんですもん。
鈴木 「いい女だ」って思われたほうが、勝手にお金出してくれたり、優しくされたり、甘やかされたり、いろいろ得するのに。
トミヤマ そういう意味では、私は涼美さんの言う「得」はしてないですね。
鈴木 私は自分がトミヤマさんより美人だなんて思わないけど、かなりの得はしてると思います。
トミヤマ 絶対してる、超してるよ。
鈴木 まぁ最終的には死ぬときにならないとわからないですけどね。ただ女をアピールしていると、歌舞伎町を歩けば何人ものスカウトマンに声かけられるし、別に就活とかしなくても仕事には困らない。
トミヤマ 女ってことで生きていけると。
鈴木 うん。たとえば電車に乗っていて「いい女だな~」って見られたくないですか?
トミヤマ 見られたくない。見られたらめんどくさい。
鈴木 私、若いときは「あいつやれそう」って思われるのがいい女なんだと本気で思ってたんですよ。だからやれそうな格好もしてたし、飲み会で一番人気になるのはやれそうな女だし。
トミヤマ 涼美さんは男性から「やれそう」って思われるのが怖くはないんですか?
鈴木 怖くないこともないけど、それよりは得のほうが断然大きいと思ってました。
トミヤマ 私は女とかメスとして見られることが怖いんですよ。私自身を見ているわけじゃなくて、ただの異性として認識されてるのかなと思ってしまう。なんかそれが怖くて悦に入れないっていうか。