11月9日、平成最後の園遊会が東京・元赤坂の赤坂御用地内で開かれた。前日には、宮内庁が「雅子さまが体調に支障がなければ、全行程に出席される」ことを発表。私は「もしかすると、今年こそは」と想像してはいたものの、この一報を受けて、前日に発表できるほど雅子さまは園遊会当日に照準を合わせ、ご体調を整えられてきたのだろうか、と考えていた。11月7日~8日に「全国農業担い手サミット」の開会式臨席などのため、皇太子さまはお一人で山形県を行啓され、ご負担を考慮して雅子さまは同行を見送られた経緯もあった。
女性皇族方は、雨の中和装でお出ましに
当日はあいにくのお天気だった。冷たい雨が降りしきる中、14時20分頃に美智子さまをはじめとした女性皇族方が、和装でお出ましになったと聞いてさらに驚いた。園遊会は、春と秋に年2回催される。天皇陛下や男性皇族はモーニングをお召しになり、女性皇族の場合は、和装と洋装を2回ずつ続けてお召しになることが、ここ数年続いていた。その通例通りであれば、今回は洋装となる順番なのだが、どなたもこの30年間を締めくくるにふさわしい色とりどりの和服をお召しになって、肩や裾をぬらしながらも、傘をさされて招待客と歓談された。
透明ビニール傘は、美智子さまならではの細やかなお気遣い
両陛下は1本約8000円のビニール傘をお使いになり、お二人で一つ傘の下、歩を進められた。この傘は軽くて丈夫な上、透明だから会話する相手の視界を遮らず威圧感も少ない。両陛下のお顔の表情を自然な光の中で拝見できることが特徴で、雨天でも目と目をしっかりと合わせて会話がしやすい。美智子さまならではの細やかなお気遣いと言えるだろう。皇太子さまと雅子さまは、それぞれ1本ずつ黒い傘をお持ちになっていて、透明なビニール傘は両陛下の“専売特許”のお品であることを物語っているようだった。