園遊会ドレスコードの秘密
ある宮内庁担当記者は「今回のドレスコードについては、皇后さまは和装、他の方はご自由に、ということだったようです」と話し、美智子さまはとても品の良いニュアンスカラーの訪問着、雅子さまは秋らしい紅葉柄の訪問着をお召しになっていた。若い女性皇族方の振袖もとても素敵で、秋篠宮家の長女・眞子さまは瑞雲の文様があしらわれた手描き友禅の振袖を、高円宮家の長女・承子さまは濃い藍色とゴールドが目を引く振袖をお召しになり、振袖の美しさと仕立ての良さが際立っていたように思う。
和装の場合、女性皇族の和服にはそれぞれの家紋(紋章)が染め抜きされている。例えば、秋篠宮家は十四弁の菊花を中心にして、周囲に横向きの菊の花と秋篠宮さまのお印「栂」がデザインされた紋章、高円宮家は三笠宮家に以前からあった紋章の一つで、十四弁の菊花を中心にして、三笠宮さまのお印「若杉」がデザインされた紋章、というように。
雅子さまにとって、園遊会は「最後のハードル」の一つ
雅子さまが療養生活に入られて15年。私は取材を続ける中で、雅子さまにとって園遊会とは「最後のハードル」の一つだと考えていた。第1に、園遊会ではドレスコード次第で、和服をお召しになる必要がある。長期療養に入られた後、雅子さまは宮中晩餐会や結婚される女性皇族の結婚披露宴などで、ティアラを身につけられたり、目に鮮やかなコバルトブルーのドレスをお召しになったりするなど、ご自分らしい装いを楽しまれているように拝察していた。だが、和装には苦手意識をお持ちになっているのではないか、と語る関係者は多く、2017年の春、実に13年半ぶりに和服で園遊会に出席されたのだ。やはり和服での園遊会では、雅子さまが洋装の時より肩に力を入れられているように見え、緊張感が伝わってきた。
そして第2に、招待客との懇談には、私たちがそのご様子を拝見しているだけでは分からない、様々な“関門”があるという。主催者である両陛下の後に続き、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻……と皇族方が、招待客に声をかけられながら順路を歩いていかれるのだが、2番手である皇太子ご夫妻の場合は、両陛下が声をかけられなかった人にもお声がけをされたり、両陛下と秋篠宮ご夫妻と、付かず離れずの距離を保たれながら、懇談なさるのだ。招待客のプロファイルを記憶されなければ、スムーズに会話されることも難しいだろう。完璧主義の雅子さまは、相当の緊張感を持って臨まれたに違いない。