実は、いま日本全国の地域間には、意外に大きな「健康格差」がある。日常生活を支障なく送れる年齢=「健康寿命」を地域ごとに調べてみると、1位の山梨県は2016年時点で73.21歳だが、最下位の秋田県は71.21歳。住んでいる地域によって2歳の違いが生じている(男性)。『長生きできる町』(角川新書)を上梓した近藤克則氏が、どんな町に暮らせば元気で長生きできるのか、調査データと共に紹介する。
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健康寿命とは、「日常生活に制限のない期間」のこと
長寿化の進む日本では平均寿命が伸び続けており、厚生労働省が発表した2017年の簡易生命表では、男性が81.09歳、女性が87.26歳となりました。1965年にはそれぞれ67.74歳、72.92歳でしたから、約50年で10歳以上も寿命が伸びた計算です。
一方で高齢者の介護や認知症が社会問題になっています。せっかく、寿命が伸びても、元気でなければ人生を楽しむことができません。そこで、注目されているのが健康寿命です。健康寿命とは、「日常生活に制限のない期間」を指し、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる状態のことです。厚生労働省のデータによると、2016年時点の健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳でした。2017年の平均寿命と比べると、男性は8.95歳、女性は12.47歳の差があることがわかります。この期間は、日常生活に何らかの制限があることを意味します。
この健康寿命をもう少し詳しく見てみると、都道府県によって大きな差があることがわかります。図は、2010年時点と2016年時点の健康寿命を都道府県別にまとめたものです。
たとえば、男性の健康寿命を見ると、1位の山梨県は2016年時点で73.21歳ですが、最下位の秋田県は71.21歳と住んでいる地域によって2歳の違いがあるのです。一方で女性の1位は愛知県の76.32歳で、最下位の広島県は73.62歳で2.7歳の差があります。