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健康寿命に、ここまで地域差が出る理由
地域によってなぜここまでの差が出るのでしょうか。
私たちの研究グループ「JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study、日本老年学的評価研究)」の活動は、1999年にスタートしました。3、4年ごとに調査を積み重ね、2010年から全国展開をしました。この活動によって地域による健康寿命の差はどこに原因があるのかが明らかになってきました。
その一つが社会参加です。社会参加とは、スポーツの会やボランティア、趣味関連のグループなど、地域で行われている活動のことです。
たとえば、スポーツの会に週1回以上参加している人の割合が多い地域ほど、転ぶ人が少ないことがわかりました。データを集計すると1年以内に転んだことのある人の割合が、最も低い地域は7.4%でした。14人に1人が転んだことになります。一方で、転んだ人が最も多い地域は、31.1%です。3人に1人が転んでいたのです。
同じ日本人で同じ日本で暮らしていながら4倍以上も転びやすいまちがあったのです。スポーツの会への参加との関係を見ると、参加率が高いまちほど転ぶ人が少ないことがわかったのです。
スポーツの会への参加が転倒以外にも影響するのではないかと考えてさらに調査を続けると、認知症リスクとも関連していました。
スポーツの会以外にも「サークルが少ない」「公園が近くにない」「1人で食事をする」「笑わない」など、さまざまな環境や行動が健康寿命を縮めていることがわかっています。