初の著書『コネ、スキル、貯金ナシから「好き」を仕事にするまでにやってきたこと』が話題を呼ぶ人気イラストレーター・フジワラヨシトさん。30歳で会社員を辞めてフリーランスの道を選択し、今や総フォロワー数10万人超。仕事の依頼が途絶えないSNSの運用術とは?
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フォロワー数200人ほどの“弱小アカウント”からの出発
――イラストレーター界隈でも、とくにフジワラさんは楽しくて有益なポストが多く、SNSが賑わっていますね。
フジワラ SNSは使い方を間違わなければ、「持たざる者」の強い味方であり、フリーランスにとって強力な営業ツールだと思います。会社員時代に激務でメンタルを壊して退職したとき、文字通り私は、クライアントやインフルエンサーたちとのコネも、たいした絵のスキルも、貯金もない状態でした。
しかもちょうどコロナ禍がはじまって、新人が出版社や広告業界に営業をかけるのはきわめてやりづらいタイミングでした。でもだからこそ、従来の手法にとらわれず「仕事につながる」SNS運用を戦略的に考えました。
――“弱小アカウント”をどう育てていったのか教えてください。
フジワラ フォロワー数がわずか200人ほどの初期段階の走り出しでは、模索する時期だと割り切って、本当にできることはなんでも試してみました。「お仕事動物」シリーズであったり、野球場で見た面白いものであったり、落書きみたいな絵から描き込んだイラストまで、まずは何がみんなに受け入れられるのか、そこでどんなリアクションが得られるのか、需要を調査するような気持ちで日々取り組みましたね。
ツイート量が少なすぎると浮上できないので、ある程度の量をコンスタントに投稿しましたし、他のイラストレーターのよいツイートに、いいねをつけたり引用リツイートしたりして、積極的に「交流」をするようにしました。交流がなさすぎると自分の投稿に反応をもらいにくいですし。
フォロワー数が少なくとも、漫然とツイートするのではなく、これはどの層に対してなにを狙っているものなのか、目的を意識して投稿するように心がけました。
コロナ禍で大きな話題となった「応援」の投稿
――コロナ禍での「お仕事動物」シリーズの投稿は絵柄のかわいさと相まって話題になりましたね。
フジワラ この一連のイラストは、日々黙々と働く人々への応援メッセージとして始めたんです。医療従事者への称賛がSNSにあふれるなか、そうした方々エッセンシャルワーカー以外にも社会を支えてくれる多くの人々――時間通りに荷物を届けてくれる配達員さんや、工事現場の交通整理を行う方など、縁の下の力持ちたちを応援したくて、動物たちの姿を借りて描きました。
コロナ禍でやっぱりみんながネガティブになっている時期だったので、少しでもポジティブになれるようイラストで励ましたかった。目立たずとも日々がんばって働いている人たちを応援したいというみんなの気持ちとつながれたのはもちろん、実際そういうお仕事をしている方々から、「職場でプリントアウトして使っても良いですか?」と言われたり、感謝の声が届いたのは非常に嬉しかったですね。