東京都平均より健康寿命が約2歳短かった足立区のケース
原因がわかれば、それを改善することで健康寿命を伸ばすことが可能になります。同じ都道府県の中でも市区町村間の健康格差は小さくありません。たとえば東京都足立区は、2010年のデータで、東京都の平均よりも健康寿命が約2歳短いことがわかりました。足立区がさらに詳しく調べたところ、糖尿病をはじめとする生活習慣病が原因であることが判明。
住んでいれば自ずと健康になれるまちを目指して、「もっと笑顔、もっと長寿 あだち元気プロジェクト」(通称・元プロ)をスタートさせ、糖尿病対策の一環として区民が野菜を手軽に食べることができるような取り組みを実施。その結果、2015年には男性が1.66歳、女性が1.25歳まで、東京都平均との健康寿命の差が縮まりました。
一人ひとりの努力も大切ですが、健康に良い社会環境をつくることも重要です。世界保健機関はそれを「0次予防」と呼んでいます。それが実現すれば「暮らしているだけで長生きできるまち」も夢ではありません。
これを実現するには行政、ボランティア、メディア、民間事業者、研究機関など多様な部門が協力する集合的な力「コレクティブ・インパクト」が必要です。関係者に共有された評価システムも欠かせません。
そこでJAGESにおける約20年間の実績を基に一般社団法人「日本老年学的評価研究機構」を2018年1月にスタートさせました。本機構のウェブサイトでは、健康寿命に関する最新情報を提供しています。
