これまでに最多対局賞は12回
では、羽生は年間に平均で何局指してきたのだろうか。2000局のうち、今年度の35局と、12月スタートで対局数が少ない初年度の10対局を除いた1955局を1986~2017年の32年で割ってみる。
1年間平均でおよそ61局という数字が算出されるが、ここで過去10年の最多対局賞受賞者とその次点該当者をみてみよう。
・2017年度、藤井聡太、71局(2位・豊島将之、62局)
・2016年度、千田翔太・佐々木勇気、65局(3位・近藤誠也、60局)
・2015年度、佐藤天彦、59局(2位・豊島将之、阿部光瑠、57局)
・2014年度、豊島将之、56局(2位・羽生善治、55局)
・2013年度、羽生善治、62局(2位・渡辺明、53局)
・2012年度、羽生善治、68局(2位・渡辺明、61局)
・2011年度、羽生善治、63局(2位・豊島将之、60局)
・2010年度、渡辺明、58局(2位・羽生善治、57局)
・2009年度、久保利明、61局(2位・豊島将之、59局)
・2008年度、久保利明、73局(2位・羽生善治、65局)
この期間中に羽生の年間平均である61局を超えたのは、羽生自身を除くと5名しかいないのだ。ちなみに将棋大賞が創設された第1回(対象成績は73年度)から最新の第45回(対象成績は17年度)までの最多対局賞の数字を平均すると71局、そして羽生が受賞対象となった第14回(対象成績は86年度)以降を平均すると69局となる。一般的には年間50局指せば、十分に活躍した棋士と認められるだろう。
さすがに毎年のように最多対局賞とはならないが、それでも最多対局賞12回は、2位の米長が6回であることを考えると、圧倒的である。
もっとも多かった対戦相手は?
同時七冠達成、あるいは2017年12月に実現した史上初の「永世七冠」など、多くの記録を打ち立てた羽生だが、自身の一番誇らしい記録として挙げたものが年間89対局である。このことからもわかるように、対局数の多さは棋士の勲章なのだ。
ちなみに、羽生の対局相手としてもっとも多かったのは、数多くのタイトル戦で好勝負を繰り広げた谷川浩司九段の166局(104勝62敗)。次いで同世代の佐藤康光九段(160対局、106勝54敗)、森内俊之九段(136対局、78勝58敗)が続く。2000対局のうち、5回に1回以上はこの3人と対局してきた計算になる。なお、羽生が10回以上対局している相手は37人いるが、そのうち負け越しているのは佐藤天彦名人(20対局、8勝12敗)のみである。
現在、史上最多の対局数を誇るのが加藤一二三九段の2505局。これを羽生は更新できるだろうか。いつかその日を楽しみに待ちたい。