外国人受け入れの青写真が見えてこない
で、その賃金に関する問題は結構根深くて、なにぶん、安倍政権も外国人労働者を単純労働であっても門戸を開く受け入れの方向で政策審議が進んでしまっているため、かなりの混乱の渦中にあります。11月21日から審議入りした衆院法務委員会で外国人労働者の受け入れ拡大に向け在留資格を創設する出入国管理法改正案について山下貴司法相が提案理由説明をおっぱじめ、来年度からの5年間で受け入れを見込む外国人が最大約34万5,000人と、おいちょっとと思うわけであります。
単純な話、外国人の受け入れを進めたい背景というのは日本国内の少子高齢化が原因であって、国内の労働者が足りないので、安く働いてくれる外国人労働者を日本に移民として連れてこようという劇薬のような話であることは言うまでもありません。大丈夫なのでしょうか。基本的には、いろんな国からやってくる外国人をどのように受け入れるのか、日本社会にどうやって溶け込んでもらい、理解をし、一緒に暮らしていくのかという青写真がまだちゃんとないよなあ、というのがまずあります。いまはまだ景気がいいから仕事はあるけど、景気が悪くなったら失業する日本人と仕事を奪い合いすることにもなりかねません。
何より、人手不足の状態であるならば、まずは賃上げをして、貴重な労働力に資金が還元されて賃金上昇の局面になってから考える必要がありますし、金融・為替政策面で解決しようとするなら円安誘導を是正すればよいわけです。そもそも、デフレ対策をするべきと言い、賃金の上昇がなければ日本経済の生産性が上がらないと叫んでいたはずなのに、人手不足なので賃金を上げるという政策ではなく安い外国人に来てもらうという話をしている時点で、アベノミクスは経済政策として破綻しています。