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「不適切ツイート」で誤解を生むと思わなかったのか

――分限裁判はあくまで「犬の返還訴訟」についてのツイートが問題として申し立てられたものでしたが、結局は岡口さんがこれまで注意をされてきた他の「不適切ツイート」についても焦点が当てられることになりました。過去に東京高裁長官から厳重注意を受けた、江戸川区で起きた殺人事件に関するツイートについてもそうです。

岡口 これも、個人情報や位置情報が完全に隠されて何の事件なのかわからなくなっている判決文のリンクを貼ったものであり、私はそれが江戸川区で起きた事件であることも知りませんでした。あくまで事件の事実を客観的に書き、法律問題の議論を深めるための「事例」として投稿しました。私はこの判決文を公開していることへの抗議を受けたため削除しました。つまり、もともとご遺族は高裁がこの判決文をネット上にアップしてしまったことに抗議していたんです。それがいつの間にか、私のツイートの文言で傷ついたという話になり、さらに、現在では、私のふざけたツイートに混じってこの投稿があったことに傷ついたことになっているのです。

 

――現在凍結されている岡口さんアカウントのツイッターには、岡口さんが白ブリーフ一丁になっている写真がアップされるなど、きわどいものもありました。その中で法律問題に関する「事例」もあげられていくと、変な誤解を生むとは思いませんでしたか。

岡口 先ほども言ったように、4万人ほどいた私のフォロワーはほとんどが法曹関係者でした。ですから、私が何者であるかがわかった前提で、きわどいものも含めて楽しんでもらっていると考えていましたし、法律問題は法律問題として読んでもらっていると思っていました。それから、ツイッターは不特定多数に開かれているメディアではあると思いますが、一方で主体的に探したり、フォローしたり、リツイートされたものを積極的に読もうと思わなければ情報にたどり着けないものだと思います。テレビなどのように漫然としていても入ってくる情報とは違うはずです。その点からも誤解を生じさせるとは想定していませんでした。

私だって裁判所の中で裸になろうとは思いませんよ

――今回の分限裁判では「裁判官の品性」について議論を呼ぶこととなりました。

岡口 私のツイートは「裁判官の品性」を逸脱しているという話ですよね。ただ、当然ながら私だって裁判所の中で裸になろうとは思いませんよ。あくまでツイッターはオフの時間にやっているわけで、裁判官としてオンの状態でしているわけではありません。そこを一緒にされると、裁判官は24時間裁判官として品性を持った存在でなければならない。品性とは何かという問題は難しい議論になってしまいますが、四六時中裁判官としての個人であれというのは、いくらなんでも酷でしょう。人間にはオンとオフがあるのですし、表現の自由が保障されているのですから。

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――オンとオフはかなりはっきり線を引かれているのですか。

岡口 オンでは絶対に品位がなければならないと思っています。裁判官の中には法廷でギャグを言う人もいるんですよ。中でも刑事事件を扱う人には、割と。被告人が緊張している場合が多いので、あえて和ませようとしてやっていると解釈しているんですが、私は法廷でそういうことはしたくないんです。まさにそこは法廷だからという理由に尽きるんですけどね。