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「そんなもん、たいしたお金じゃないですよ」大阪万博を推した人たちの「9つの珍言」

いつの間に「日本の最重要プロジェクト」に

2018/12/01
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橋下徹 前大阪市長
「そんなもん、たいしたお金じゃないですよ」

日刊スポーツ 11月24日

橋下徹氏 ©文藝春秋

 松井知事とともに大阪万博誘致を提案したのが前大阪市長の橋下徹氏だ。24日に出演したテレビ番組では1250億円を予定する会場建設費について「大阪、西日本を勢いづかせるために必要」と強調。「負け癖のあった大阪が勢いづいてきている。そんなもん、たいしたお金じゃないですよ」と語った。

 橋下氏は「へんなところで水を差さないでください。東京オリンピック(五輪)にどんだけお金をぶち込んでいると思っているんですか」と底抜け予算状態の東京五輪を引き合いに出したが、東京五輪も大阪万博もこっちが大金はかけてくれと頼んだ覚えはない。

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当初関西経済界は冷ややかだったが……

安倍晋三 首相
「夢と大きな驚きを与えるような万博にしたいし、関西のパワーで被災地を含め日本全体を元気にしてもらいたいと期待している」

産経新聞 11月24日

 万博が大阪に決定した直後にビデオメッセージを発表した安倍晋三首相は、24日にも記者団に大阪万博への期待を語った。「被災地を含め」と言っているのは、訪問先の福島県双葉町で語ったから。

 安倍首相は26日の衆院予算委員会でも「世界中の人々に夢や驚きを与えるような素晴らしい万博にし、日本全体を元気にするよう、引き続きオールジャパンの体制で全力で取り組む」と語り、あらためて成功への意欲を示した(産経新聞 11月26日)。万博に「オールジャパンの体制」で取り組むのはもはや決定事項のようだ。

 大阪に万博を誘致しようという動きは、安倍首相と大阪のタッグによって進められてきた。2014年夏、橋下徹氏と松井知事は、自身らが率いる地域政党「大阪維新の会」の目玉政策として万博誘致を発表。しかし、当初は関西経済界から「費用対効果が不明だ」と冷ややかな意見が根強かった。

2015年、大阪都構想住民投票前の橋下徹氏(中央)と松井一郎知事(右) ©文藝春秋

 そこで橋下、松井両氏は15年12月、つながりの深い安倍首相、菅義偉官房長官と会食。松井氏が万博誘致の必要性を力説すると安倍首相も同調し、菅氏が経済産業省に協力を指示した(朝日新聞デジタル 11月25日)。16年9月、安倍首相が衆院本会議で万博誘致について「しっかり検討を進める」と答弁すると、経済界も協力姿勢に転じて誘致活動が本格化した(産経新聞 11月25日)。

安倍晋三 首相
「維新の皆さんと自民党大阪府連が合体した感じで、最後まで諦めずに頑張ってくれた」

時事ドットコムニュース 11月26日

 これは大阪開催が決定したときに安倍首相が語った言葉。政権が万博誘致を重視したのは、経済効果に加え、憲法改正などを見据えて維新との協力強化を図りたいとの思惑があるのだという。官邸関係者は「維新との協力を首相は相当意識していた」と明かしている(時事ドットコムニュース 11月24日)。