外国人労働者受け入れをめぐる入管法改正案、消費増税対策、憲法改正などの重要議案がある今国会だが、ある人物をめぐってパニックになりつつある。その名は桜田義孝五輪担当相だ。日々桜田氏の失言、珍言が国会を飛び交い、さまざまな審議がストップしている。桜田氏の言葉をあらためて振り返ってみたい。
桜田義孝 五輪担当相
「従業員や秘書に指示してやってきたので、自分でパソコンを打つことはない」
朝日新聞デジタル 11月14日
サイバーセキュリティー基本法改正案を担当する桜田義孝五輪担当相は、14日の衆院内閣委員会で「自分でパソコンを打つことはない」と答弁。業務などで自らパソコンを使用したことはないと説明した。
政府は東京五輪でサイバー攻撃が増えることを見込み、対策を盛り込んだ法改正案の今国会成立を目指している。桜田氏は政府のサイバーセキュリティー戦略副本部長で、サイバー攻撃対策を所管している。質問した立憲民主党会派の今井雅人氏は「パソコンもいじったことのない方が対策をするのは信じられない」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で「どう考えても適任ではない。首相の任命責任が厳しく問われる」と批判した。
今井氏にサイバーセキュリティー担当相としての資質を厳しく問われた桜田氏は、「国民目線に立ったサイバーセキュリティー対策をしっかりと実施することが、私の大きな役割の1つと認識」と回答したが(FNN PRIME 11月14日)、「国民目線に立ったサイバーセキュリティー対策」が何かよくわからない。桜田氏の事務所によると「国民一人ひとりがサイバーセキュリティに対する意識・理解を醸成し、サイバー空間における様々なリスクに対処できるようになること」という回答があったそうだが(日刊ゲンダイDIGITAL 11月15日)、それならまず桜田氏本人が「対処できるように」なったほうがいいだろう。
USBポートの「存在は承知している」
桜田義孝 五輪担当相
「使う場合は穴を入れるらしいですけど、細かいことは私はよく分かりませんので、専門家に答えさせます」
日刊スポーツ 11月15日
21日はパソコンと周辺機器を接続する際などの差し込み口となるUSBポートについて「存在は承知している」と強調したが、14日の衆院内閣委員会ではこんな答弁をしていた。
国民民主党の斉木武志議員は、2010年にイランで起きたUSBメモリーを使ったイラン核施設サイバー攻撃事件を例に挙げて「日本の原発にUSBジャックはあるか」と質問したが、桜田氏は「基本的には使われない」「使わせない」とよくわからない返答を繰り返した。斉木氏が「『使わせない』ではセキュリティーとは言えない」とただしたところ、「(USBを)使う場合は穴を入れるらしいですけど、細かいことは私はよく分かりません」とUSBについての知識がなかったことを明かしている。
22日の衆院内閣委員会では「忙しすぎて(パソコン習得は)やりきれない。自ら覚えるのはやめようと(思った)」とも発言している(時事ドットコムニュース 11月22日)。