今季の飛躍につなげたエースへの弟子入り
ルーキーイヤー、2年目と勝ち星を挙げられない。そのオフ、不退転の決意で弟子入りを志願したのが、絶対エースだった。ドラフト1位の先輩である菅野に直接お願いして、ハワイ自主トレへ同行。基本のキャッチボールから徹底的に行い、投球フォームではグラブを持つ左腕の使い方や、ボールのリリースまで力みを無くすことなど、細部にわたって投球を叩き直した。それだけでなく全身のトレーニングから食事の摂り方。何から何まで目からうろこだった。
「菅野さんの全てが勉強になりました。本当に貴重な機会をいただき、ありがたいですし、自分が結果を出すことが菅野さんへの恩返しになると思いますので、必ず結果を出していきたいと思います」。一言一句聞き漏らさぬよう、行動を脳裏に焼き付けるようにノートに毎日記し、財産とした。昨季、ファームでは4勝、防御率2.69。1軍から呼ばれることはなかったが、良い感覚を持ち続けて今季の飛躍につなげた。
この3年間、決して平たんな道のりではなかったが、決して下を向くことはなかった。常にポジティブに野球と向き合ってきた。いつ状態を尋ねても「調子は良いです」と即答。朝の新しい習慣によって今年はさらに拍車がかかり、開幕からより前向きに野球をしているのが印象的だ。「読売巨人軍という素晴らしいチームでプレーできていることを当たり前と思わず、感謝の気持ちを常に持って、マウンドに上がっていきます。とにかく言われたところで結果を出し、チームに欠かせない戦力になりたいです」。単にリリーフの一枚ではなく、勝利の方程式の一角を任されてもミラクルとは言わせない。そうした頃にはもう、トイレ掃除など必要なくなっているに違いない。
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