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ありがとう伊藤光、寺原隼人、レオン・リー……パ・リーグから横浜に来てくれた男たちを振り返る

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/06/16
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 ここまでベイスターズの交流戦成績6勝5敗。大健闘である。山賊相手に狭いハマスタで2勝1敗。まさかの柴田がヤフオクドームのライト中段に叩き込めば、ソトもあっち向いてホイの満塁弾で5年ぶりの福岡勝利。毎年この時期はベイファンみんながメンタルを削られまくるけど、こんなに穏やかな気持ちでいられるとは夢のようだ。

 ここまでパのチームと互角に渡り合えるのは伊藤光の存在が大きい。交流戦の初っ端で古巣相手に決勝弾&3安打。ここ数試合は肩の違和感でスタメンを外れたけど、オリックスで正捕手を張りパを知り尽くしたこの人がいなければ、交流戦はもちろんリーグ戦も相当しんどい戦いを強いられていたはず。完投投手への「ヒカルのご褒美ハグ」はすっかりハマの名物だし、ベイにとって伊藤光の加入はこれ以上ない補強だった。

 2リーグ制発足と共に球団が誕生して70年の間、ヒカルのようなパ・リーグからの移籍組にはどの程度助けられたのか。トレードにFA、テスト入団などひっくるめて「パから大洋&ベイに来た男たち」の系譜を振り返ってみたい。

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5月19日のヤクルト戦、完封勝利を挙げた浜口遥大と抱き合う伊藤光

パ・リーグから横浜にやって来た男たち一覧

(※カッコ内=移籍年度)
●オリックス
【主な選手】宇野輝幸(1981)、小川博文(2001)、大西宏明(2008)、山本省吾(2011)、一輝(2011)、バルディリス(2014)、伊藤光(2018)

 大洋時代は絡みが少なく、貴重な中継ぎだった宮本四郎との交換で捕手の宇野を獲得した程度。宮本が阪急でローテ入りする一方で宇野は戦力にならず、これは完全に失敗。2000年代にトレードが活発になり、01年にやってきた小川は同年15本塁打、65打点で進藤達哉の穴を埋めた。古木克明と交換の大西は初年度にまあまあ活躍。移籍したての山本が11年の開幕投手を務めたのは過渡期を象徴する出来事。バルさんことバルディリスは数字以上にファンに愛された。

●ソフトバンク
【主な選手】スタンカ(1966)、森中千香良(1967)、佐藤道郎(1979)、池之上格(1987)、畠山準(1991)、若田部健一(2003)、佐久本昌広(2006)、寺原隼人(2007)、篠原貴行(2010)、井手正太郎(2010)、多村仁(2013)、バリオス(2018)

 森中は67年18勝をマーク。野村ホークスの守護神で和田毅の義父、佐藤道は全盛期の投球には及ばず。テスト入団の池之上は闘志あふれるプレーで古葉大洋を支えた。野手転向後にテスト入団の畠山は92年に定位置を掴み3年連続球宴出場。2000年以降は行き来が活発になり、寺原、篠原、井出らがやってきた。多村のベイ復帰も記憶に新しいが、やはり07年、初の2桁勝利でチームを最下位から4位に押し上げた寺原の活躍が印象深い。あとホエールズ友の会会員だった若田部が移籍してきた時はすごく期待したけど……。

●日本ハム
【主な選手】渡辺秀武(1976)、野村収(1978)、加藤俊夫(1982)、木田勇(1986)、島田直也(1992)、スレッジ(2010)、江尻慎太郎(2010)、森本稀哲(2011)、林昌範(2012)、藤岡好明(2016)、エスコバー(2018)

 野村は若手時代にロッテ放出後、エース級に育ち横浜大洋初年度に復帰。いきなり最多勝を獲得した。長年の恋人、木田は初年度8勝で左腕不足時代の救世主。出世格はやはり島田直。移籍後プロ初勝利を挙げると94年9勝、95年10勝でチーム最多勝。97年は最優秀中継ぎを獲得し、98年の最強の中継ぎローテでエースを張った。2010年開幕直後の巨人戦でスレッジが放ったサヨナラ弾は今でも脳裏に焼き付いているし、今の藤岡とエスコバーの存在の大きさは言うまでもない。

92年に日本ハムから​移籍 98年は中継ぎエースとして日本一に貢献した島田直也 ©文藝春秋
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