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2回目の握手は笑顔だった

 今年からは47番に背番号が変わっていました。球史に残る鉄腕、長くジャイアンツのブルペンを支え、去年で引退した山口鉄也投手がつけていた番号です。中継ぎでの活躍を見込まれてだとか。うまく噛み合ってくれるといいなと願っていました。

 一番最近、私がジャイアンツの吉川投手について番組で伝えたのは、二軍戦の結果でした。6月22日(土)の土浦でのファイターズとの試合。2人目に投げて勝利投手でした。

「ファイターズ、残念ながら負けました。勝ち投手は、えーっと、吉川投手ですね、あ、吉川投手はいまここにいるんですね……」と思わず言ってしまっていました。

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 悔しかった、普通に二軍のスコアに吉川投手の名前があることが。心配だった、吉川投手はいまどんな顔をしているんだろうと。結果、この試合が吉川投手にとってジャイアンツでの最後の試合になりました。その4日後に古巣復帰のトレードが発表されたのです。

 栗山監督は相変わらず厳しい言葉です。

「おかえりなさいという気持ちはない。勝負に来たと思っている」

 でもこの後は「一番光る場所があるはず」と続けました。

 そして私は吉川投手と2回目の握手をしました。偶然、入団会見の前に札幌ドームで会うことが出来たのです。

 まずは「驚きました」と伝えると、「いやいや、僕の方が驚きました」と、よく日に焼けた彼は笑いました。その顔を見て、私も笑いました。

 2回目の握手は笑顔でした。きっと未来は明るい。プロ野球選手はタイミングも才能のひとつ。もう一度、なるほど、こういうことなのかって私に言わせてほしい。

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