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三好匠、小園海斗……広島カープの内野手に“八重歯”が急増している問題を考える

文春野球コラム クライマックス・シリーズ2019

2019/10/07
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カープの内野手に八重歯が急増している問題

 カープはどうだろうか。先日引退した永川勝浩を含めると、75名の支配下選手・育成選手のうち11名の八重歯選手が在籍している。約15%が八重歯選手である。現在の日本では12~20歳のうち約26%の人に叢生(重なって生えている歯)があるという調査もあり(厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」)、平均よりは少なめなのかも知れない。

 ところが、ある傾向が見えてくる。どうにも八重歯の内野手が多いのである。確かに以前から東出輝裕や梵英心など、カープでは八重歯内野手が多い印象ではあった。しかしここ1年ちょっとの間に、カープは美間、下水流昂(非八重歯選手)をトレードで放出し、曽根海成、三好匠(八重歯内野手)を獲得した。更にはドラフトで小園海斗、林晃汰を指名したことで、もともと八重歯内野手であった小窪哲也を含め、一気に八重歯内野手が5名に増えたのである。ここに何らかの意図はあるのか。かわいさで打者を圧倒する、吸血鬼のイメージで外国人選手を怖がらせる……等々考えてみたが、大きなポイントは八重歯が「アシンメトリー」であるということではないだろうか。

カープのさまざまな八重歯 ©オギリマサホ

 なぜ日本でのみ八重歯が評価されるのかという理由の一つに、「日本は非対称のアンバランスさ、未完成の美しさを尊ぶ」という説がある(大野粛英・吉田康子「八重歯の考現学(下)」『日本歯科評論』No.549)。そもそも「内野のアシンメトリー」は「王シフト」時代からのカープの伝統であった。

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 更に言えば、三連覇を果たしながら日本一になれず、今年もギリギリまで3位にいながらCS出場を逃した現在のカープはまさに「未完成」なのかも知れない。しかし八重歯内野手たちはいずれも次世代のカープを担う選手たちである。特に小園は高卒1年目で58試合に出場し、来シーズン以降の期待も高まっている。もしこのまま小園が順調に成長してメジャーに挑戦などという日が来たとしたら、多くの先達たちがそうしたように真っ白い綺麗な歯並びに直すのであろうか。そのようなことを考えつつ、しばらくは八重歯が覗く笑顔が一回でも多く見られるよう、八重歯内野陣の活躍を見守っていきたい。

将来のカープの内野予想 ©オギリマサホ

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