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伝説のフォトセッションを仕込んだ舞台裏

 当時の広報担当、丸山一仁氏(現営業担当)は懐かしそうに当時を振り返る。「なにか目立つことをしないといけないとね。テレビや新聞でなかなか紹介されない時代だったから。榎は当時、売り出し中のイケメン選手だったしね。そうだ、祝福のキスだと思いついて、そういう場面を作ったのよ」と伝説のフォトセッションを仕込んだ舞台裏を教えてくれた。

 そんな榎は98年にトレードでジャイアンツに移籍。00年にマリーンズに復帰するも、その年限りで現役を引退。01年からは自らが広報を務めた。そして05年には谷保恵美氏も広報担当(場内アナウンス担当兼務)となり共に仕事をすることになる。

「広報になってからヒーローインタビューを受けた選手の絵作りの大事さはもちろん意識していた。自分も実体験があるからね。しかし自分も若かった。そんな光景、今となると信じられない」と榎氏は笑う。

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 榎氏は17年オフに広報からスカウトに転身。チーフスカウトとして全国の逸材を探す日々を送る。そして谷保氏は来るべきウグイス嬢30年目の節目のシーズン到来を待つ。楽しみにしているのは榎氏が目を付けた若い選手が初めてお立ち台に上がる日が来ることだ。その時は大切に保管をしている当時の新聞記事を選手に見せたいと思っている。その紙面には「プロ初勝利をマークした榎はマスコットガールからキスの祝福を受け大照れ」の見出しで2人の美女に両頬をキスされデレデレになっている当時の榎氏の写真が掲載されている。

当時の新聞を手にする谷保恵美氏 ©梶原紀章

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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