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コインロッカーで発見された赤ちゃんの遺体
今から10年ほど前、横浜にある駐車場で、赤ちゃんの遺体が発見されました。その駐車場にはコインロッカーが設置してあったのですが、その中の一つに遺体が入れられていたのです。
赤ちゃんを捨てた犯人は、母親である10代の女でした。彼女は自宅のマンションでひっそりと出産したものの、赤ちゃんは初めから息をしていなかった――つまり、死産だったようです。こうした経緯から、その女は殺人罪ではなく、死体遺棄罪にのみ問われました。
しかし、この事件で注目すべきなのは、彼女が出産したのが実家のマンションだったということです。しかも、女きょうだいや母親とも同居していたにもかかわらず、誰一人、彼女が妊娠・出産していたことに気付いていなかったのです。
クルーズ船のスタッフが気づかないこともある
家庭環境や妊娠期間、または本人の体型や服装などによって気づきにくくなることはあると思いますが、このように、一番身近にいる人間でさえも、その人が妊娠していることに全く気づかないケースは存在します。そう考えると、「クルーズ船に妊婦が乗り込めば、さすがにスタッフも気づくだろう」と簡単にイメージしてしまうのは、間違いなのかもしれません。
ただ、実際に船籍が絡む事態としては、出産よりも犯罪のほうが何倍も多いでしょう。では、クルーズ船で犯罪が起きたら、一体どんな手続きが取られるのでしょうか? 次回も、事故物件を補助線に、クルーズ船の特殊なルールについてご紹介しましょう。
(後編に続く)