一口に野球ファンと言っても色々な人が居るもので。選手のファンのみならず、長嶋さんのファンや王さんのファンのように首脳陣に想いを寄せる人、ご当地スタジアムが好き過ぎてチームを応援している人、チアリーダーが好きな人、ビールの売り子が好きな人と、野球にはつくづく色々な見方があるのだなといつも感心してしまう。

 中でも多くの人が魅せられている「球団マスコット」。本当に多くの人たちがマスコットとの交流を楽しみにスタジアムに来場している。それに最近ではマスコットの個性もユニークに富み、たくましさや愛らしさだけでなく、面白さや滑稽さを売りにしているマスコットも多い。文春野球コラムまで寄稿しやがるマスコットもいるくらいで、それはそれで多くの人が魅せられているのも当然と言えるだろう。

場外ステージの思い出と「ジャビットファミリー」

 自分が場外ステージでMCを務めていた時、それこそ「ほぼ全球団」のマスコットと一緒にステージに出演した。オリックス・バファローズの「バファローブル」や「バファローベル」はその性格もキャラクターも良く把握していたのでさほど苦労はしなかったものの、「ほぼ全球団」のマスコットとなるとその個性もキャラクターもそれぞれ違う。各々への接し方には毎回苦労したものだ。

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(どの球団の職員も、今日のこのコラムを読んでないと言う前提で一つ漏らすならば)炎天下の某神戸の屋外球場で「顔面をめくり上げながら、持参の扇子で顔面内部に風を送っていた星顔のマスコット」に思わず大声でツッコミを入れてしまった事がある。その後、そのマスコットが妙に恐縮してしまいステージがとても進行し辛くなってしまった。本人も「しまった!」。とでも思ったのだろうか、その後はそのマスコット、「ただのアルバイトくん」のような働きっぷりであった。名誉のために言っておくがそのマスコットは、もうどこの浜の球団にも居ない。多分居ないと思う。

 今回のコラムの対戦相手がジャイアンツなので、少し怖いがそこのマスコットにも触れてみようか。当時自分はジャイアンツのマスコットを「ジャビット」だと認識していた。男のマスコットが「ジャビット」で女のマスコットが「ビッキー」だと。しかし、その日担当スタッフから告げられた言葉は「今日はステージにジャビィくんが登場してくれますよ」の一言。「ジャビット」の愛称が「ジャビィ」なのだろうとふわっと認識したのだが、ステージに登場したのは555番で、その球団の担当の方が「ジャバくんです!」と、とても明るく紹介してくれた。自分の頭の中はもう「???」である。「ジャビット」なのか「ジャビィ」なのか「ジャバくん」なのか。すぐさま会場を離脱しスマホとにらめっこをしたのは言うまでもない。

 その球団の事をあんなに真剣に調べ倒したのは後にも先にもあの日だけだっただろう。今では「ミスター」も「シスター」も「キッズ」も「おじいちゃん」も「いとこ」も「はとこ」もいる事を知っているのだから、ある意味立派な「ジャビットファミリー」通と言えるのではないだろうか。