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withコロナの現場取材〜フリーランス記者はどうしているのか?

文春野球コラム ペナントレース2020

2020/07/01
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withコロナの「新しい取材様式」

 結局、ヤクルトは延長10回、4時間49分の末に7対9で開幕戦を落とした。昨年までなら、試合が終わると真っ先に監督にぶら下がってクラブハウスまでついて行くところだが、この日はテレビの前。ソファに座ったままリモートの囲みに加わり、画面を通して高津臣吾監督の敗戦の弁に耳を傾ける。

「こういう試合をやって勝ったり負けたりするんでしょうけども、その中でいろいろ反省をして、チームとして成長していきたいなと思っています」

 リリーフ陣が3点のリードを守り切れず、初陣を落としたことに悔しさをにじませつつも、画面越しに届く新監督の言葉は落ち着いていた。ひとしきりの質問が終わり、リモートがオフラインになるとともに取材も終了。プレーボールから続いていた軽い緊張感が途切れると、思い出したように空腹を感じ、今さらながらインスタントのカレーを温めた。時計の針は既に23時を回っていた。

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 その後も、この「新しい取材様式」は続いている。日々、テレビを見ながら試合の詳細を記録しているスコアカードは、練習試合再開からここまで20枚を数えた。相変わらず球場には行けないが、現状では何よりも優先すべきは感染防止であり、仕方のないことと理解している。

 もちろん選手に直接話を聞いて、それを記事にしたいという思いに変わりはないが、それでも日々、リモート取材で監督や選手の声を聞けるのはありがたい。球団の配慮には大いに感謝しているし、現状ではそれをいかに記事に落とし込むかを考えていくしかない。 

 NPBは7月10日から観客を入れての開催を目指しており、感染の状況を睨みながら、少しずつ取材に対する制限も緩やかになっていく可能性もある。それまでは不要不急の外出は控え、できる限りステイホームを続けるつもりだ。

 今日も夕方になれば、ポロシャツに着替えてテレビの前に座る。「withコロナの新しい取材様式」は、まだまだ続く……。

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