クローゼットで眠っていたノースリーブをようやく身に着けた。太陽の光が恋しかった。傘を開かなかった日は何日あっただろう。長い長い梅雨だった。振り返ればタイガースの梅雨もものすごく長かった。梅雨入りは開幕日の6月19日。晴れていた空は徐々に雲がかかり7回には傘を開かざるをえなくなった。翌日には11点を奪われる土砂降り。待ちに待った開幕だったが、ワクワクした気分は開幕と同時に不安に変わった。

 ほぼ1か月間のロードで始まった今シーズン。もしかすると傘を関西に置いたまま遠征に出掛けていたのかもしれない。それほど攻撃という雨を浴び続けた。6月は10試合でわずか2勝。“It’s 勝(笑) Time!”を掲げたものの勝利も掴めなければ、もちろん選手や首脳陣、ファンの笑顔もない。7月に入り、4日5日の広島戦でようやく連勝したものの翌日から3日連続で雨天中止。いい流れをなかなか引き寄せることができなかった。

必勝祈願のために廣田神社を訪れてみた

 そもそも私自身がとんでもない雨女である。毎年2月に訪れる沖縄キャンプでは、5年連続私が沖縄入りした日は雨。那覇空港に降り立った時は晴れていたものの宜野座村にある球場に到着すると土砂降りなんてこともあった。今春はまさにレンタカーを北へ走らせている途中に雨が降り出した。球場に到着するとグラウンドでの練習は打ち切られ、選手たちは屋内に場所を移していた。私の雨女ぶりは周知されていて、姿を見つけた福留選手がウェイトルームから顔をのぞかせ「おいっ!」と空を指さしたほどだ。2018年は甲子園での雨天中止の試合が多くあったがそのほぼ全てが私リポーター担当日であった。

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 青柳晃洋投手の登板日も雨で流れることが多い。先日は傘を手にする青柳投手のイラストがあしらわれた「雨柳さんタオル」も発売された。今では笑ってこのタオルを手にすることができるのだが(雨柳さんもチーム状態も梅雨も明けたから)、6月はチームの梅雨も私の雨女も青柳投手の雨男も笑えない状態だった。

「そういえば!」

 毎年タイガースは開幕前に、兵庫県西宮市にある廣田神社を参拝する。これは球団創設時から続いている恒例行事だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で参拝が中止となっていた。そもそも廣田神社には勝運の神が祀られていると言われていて、タイガースは毎年必勝祈願に訪れていたのだ。「必勝祈願ができなかったからなかなか勝てないのかもしれない……」いてもたってもいられなくなり、廣田神社を訪れることにした。

廣田神社 ©市川いずみ