異例のシーズンも終盤に差し掛かってきました。ソフトバンクホークスは激しい首位争いの中、熱い戦いをみせてくれています。そんなリーグ優勝と日本一を目指すホークスで今、欠かせない選手の1人と言えば柳田悠岐選手でしょう。

 今シーズンは通算1000本安打も達成され、首位打者とホームラン王のタイトルを狙える位置にいます。一時期は打率4割、出塁率5割を超えており、昨年の悔しさを晴らすように例年以上に好調のようにみえます。

 柳田選手といえば独特な言葉のセンスも魅力的です。明るいキャラクターから出てくる言葉には、面白さだけでなく、深い意味が含まれていることもあります。本人はあまり意識していないのかもしれませんが、そんな言葉に私は感動したり、元気をもらったりしています。

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 今回はそんな柳田選手が今まで私達に届けてくれた言葉で個人的にいいなと思った言葉を10個選んでみました。そして、その名言達を書道作品にしましたので、合わせて楽しんでいただければ幸いです。

柳田悠岐 ©文藝春秋

柳田選手のシンプルだけど深い言葉10選

『お前は悪くない。千賀が悪い』

 2020年8月11日のオリックス・バファローズ戦で川瀬選手に対してかけた言葉です。この言葉に感動された方は多いのではないでしょうか。

 この日、川瀬選手は1イニング2失策をしてしまっていました。その失策から6点を取られており、川瀬選手も落ち込んでいたのではないでしょうか。それでも四球を選び、懸命に次のバッターに繋いだ後輩に対して、逆転3ランを打って、勝利に導いた先輩の男気がかっこいいですよね。

 同時に実力を認め合う存在である千賀投手に対して奮起を促すような言葉にもなっています。

 チームを支える2人にしかわからない重圧がある中で、直接悪いと言える関係は素敵な関係だなと思いました。

©原愛梨

『楽しいからです』

 2020年7月28日の西武ライオンズ戦でのヒーローインタビューでの言葉です。この日、柳田選手はプロ通算1000本安打を達成しました。

「毎日野球をやる原動力はなんですか?」という質問に対して、当たり前のように「楽しいからです」と答えていました。

 これって意外と難しいことだと思います。結果が求められ、時には批判されるプロ野球の世界で純粋に楽しいと言えることはすごいと思います。

 自分の仕事を楽しんでやる。楽しいから続ける。当たり前のようですが、言われないと気づけないことを教えてくれる言葉でした。

©原愛梨

『遊びでやりましょう』

 2019年10月5日の楽天イーグルス戦の声出しでの言葉です。ホークスの声出しは松田選手を中心にいつも楽しそうで元気をもらえます。

 この日はCSファーストステージの第1戦でした。1つの負けが大きいCSで遊びでやろうと言えること、それを皆で笑っていることにチームの雰囲気の良さを感じます。

 この言葉の前には、バッティングは小さい頃のバッティングセンター、ゴロは壁当て、走塁は鬼ごっこを思い出してやろうと言っています。

 前述の「楽しんで野球をやる」ことに通じていると思いますが、小さい頃の楽しくて一生懸命だった頃の気持ちが、厳しいプロの世界で勝ち抜いていくために大事だと感じました。日々、仕事や勉強に追われていると忘れてしまいがちですが、たまには思い出すようにしたいですね。

©原愛梨

『フルスイングとは野球。フルスイングできなくなったら野球やめる』

 これはテレビのインタビューで「柳田選手にとってフルスイングとは?」という質問に対しての答えになります。この言葉から柳田選手がどれだけフルスイングを大事にしているかが伝わります。また、できなくなったら野球やめると言えるほどの覚悟も感じます。

 柳田選手のフルスイングは、大学時代の恩師の三振してもいいからという言葉から始まりました。また、プロ入り後も王会長が柳田選手のスタイルを変えさせなかったといいます。周りのサポートもありながら、自分で決めたことを貫き、努力し続けた結果が今の柳田選手になったはずです。そう思うと、自分の武器を貫いて磨き続けることが、とても重要だということを感じます。

 できなくなったらやめると言える覚悟と信念を持てる武器を持つことが、どの世界でも大きく飛躍するポイントなのかもしれません。

©原愛梨

『ホームラン打てたら野球の神様のおかげ』

 これもテレビのインタビューで「野球の神様を信じますか?」という質問に対しての柳田選手の答えになります。柳田選手ほどの実力と実績があれば、ホームランは自分の実力のおかげだと言ってもおかしくありませんので、この言葉にはびっくりしました。

 最初は懸命に努力していても、実力をつけると油断や慢心をしてしまうのは、よくあることだと思います。でも、そこで謙虚に努力を続けることができる人が、更に高みに登っていけるのだろうなと感じました。

 良いことがあっても神様のおかげであり、ラッキーである。私も柳田選手を見習って、謙虚な心と神様への感謝を忘れずに努力していきたいと思います。

©原愛梨