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「2倍、3倍、それ以上の練習をやらないといけない」

 羽月と同学年で、同じく初の1軍キャンプスタートとなった林晃汰内野手(20)は、三塁のレギュラーとして立ちはだかる堂林の姿を目に焼き付けていた。

「レギュラーの方でもこんなにやるのか……と思った。自分なんてまだまだ。だったら、これ以上やるのは当たり前という気持ちにさせられました」

 今春は主戦の一塁に加えて三塁に本格挑戦する。守備に悩み、ときに自慢の打撃にまで影響してしまう一面は、どこか過去の堂林と重なる。堂林は、地道な練習によって安定したグラブさばきを身につけ、昨季に三塁の定位置をつかんだ。そして、今春も変わらず泥にまみれている。林は、そんな先輩の姿に弱点を克服するための道筋を見ていた。

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 見方を変えれば、堂林は、田中広と同様に後輩に見本を示す立場になった。これまでは、チーム編成に合わせて一塁や外野など守備位置を変えながら出場機会を探し求めていた。定位置をつかんで迎えた今春は、練習態度からチームに影響を与えている。「声を出して何とか盛り上げようと思いながら毎日やっている。自分も(声を)出していれば、若い子たちもついてくると思う」。言葉通り、後輩は堂林の振る舞いから学んでいる。

 大卒新人の矢野雅哉内野手(22)にとっては、今後も忘れることのできない貴重な体験になった。「あのとき自分は打撃練習中だったけど、守備練習が目立っていたので、結構気にして見ていました。そうしたら広輔さんと堂林さんが泥んこになっていく。自分はその2倍、3倍、それ以上の練習をやらないといけないのだなと感じました」。その場にいた若ゴイはそろって、今後の取り組み方を自分自身に問うていた。その答えは、早出練習から黒く汚れ始める若手のユニホームにある。

 河合 洋介(スポーツニッポン)

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