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相手の首も落とそうとして、少年院へ逆送致

汪楠:それで腕を切ったら思った以上に血がいっぱい出た。事務所の8畳ぐらいの部屋が、もう全部血だらけになったんですよね。二の腕のあたりって血管すごいいっぱいあって。心臓に近いし。それで「あ、これ駄目だ」と思って。組のもう1人に首つかませて、本人に土下座させて、首の切りやすいところに向けて振ったんです。でも、1回目に腕を切ったしたときに、握りの部分の2本ある竹のくぎが相当ゆるくなっていて。

草下:初めの一振りで、相当な衝撃だったんでしょう。

写真はイメージ ©iStock.com

汪楠:首の後ろって皮と骨しかないんですよね。その後いっぱいそういう場面見たんですけど、両サイドはめちゃくちゃ血管あるから、そこを切るのはやばいんです。だから、後ろを切っても首の方は大した出血もしてないんです。そうこうするうちに、組長たちが止めに来て、その人を病院に送りました。

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 実はその人はヤクザの事務所を渡り歩いていて、「若い衆になります」と言っては集金してきたお金を盗む専門の泥棒だったんですよ。

草下:窃盗の常習犯だったと。

汪楠:そのときに自分は18歳、未成年で、いくつかの事件を起こしていたこともあり、中等少年院送致となり、1年間少年院行きました。

草下:少年法も改正前で、逆送致にはなったけれども1年半ぐらいで済んだということですね。むしろ汪さんが腕を切った方のほうが……

汪楠:常習累犯でいっぱい指名手配もあり、6年の実刑判決だったと聞いています。

草下:普通に考えると、首を落とそうとした汪さんのほうが凶悪に見えますが、刑期は汪さんの方が軽かったんですね。

(略)

脅迫観念、飛び降り妄想…、きつかった離脱症状

――汪さんは著書の中で「長年薬物をやっていたので耐性がついていた」と書かれています。読者からの質問ですが、服役中に禁断症状が出るといった影響はなかったのでしょうか。

汪楠:すごいありましたね。

草下:初めは離脱症状がきついですか。

汪楠:きついですね。結構繰り返しました。実際に虫はいないのに、虫が皮膚の中に入って、心臓に届いたら死ぬと思いこむような危険な状態でした。

上出:強迫観念だったんですね。