かーぱくんに隠された物語
このかーぱくんには実はエピソード0が存在する。かーぱくんがお披露目される1年前の2012年。マツダスタジアムの一階にこんな人形が出現していたのだ。
これこそかーぱくん物語の始まりにして深すぎるドラマをもつ「子かーぱくん」である。この子かーぱくんはお父さん(かーぱくん)と生き別れになってしまい「カープがAクラスに入れないとお父さんと会えない」という、とてつもなく重い十字架を背負わされた子カバであった。
カープの状況によっては25年間会うことができない危険性もあったわけで、「母をたずねて三千里」以上のかなりヒリヒリする設定ではあった。しかし子かーぱくんの思いが通じたのか翌年にはAクラス入り。その後父と子は無事再会できたのだろうか。前出の職員の方に尋ねてみた。
「歴代のかーぱくんは広島の街にプレゼントをして、誰もが触れ合えるようになっています。初代のかーぱくん親子は二人とも広島の安佐動物園にいますよ」
本当によかった。あの後2匹は無事出会えたのだ。
「ただお父さんは猿山の前にいて、子かーぱくんとは少し距離があるみたいなんですけどね(笑)」
まさかのニアミス。同じ敷地内にいつつ、ちょっとだけ離れているというなんとももどかしい状況であった。
今年はぐーぐーと寝ているスタイルのかーぱくん。ここ2年間寝てしまっていたけどいよいよ目を覚ましますよ!という状態のようだ。今年かーぱくんが見事に覚醒し鷹に虎にとその強さを見せつけ、再び地上最強の姿を発揮してくれることを願う。
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