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バーベキューで盛り上がった日本独特の風習

 ちなみに現役時代の松中コーチは外国人選手とのグラウンド外での交友も積極的だった。オールスター休みなど自宅に誘い、庭でバーベキューを行った。

「懐かしいね。家に家族も呼んで盛り上がったよ。外国人選手は大体、マンション暮らしでバーベキューもできないし喜んでくれていた。それをキッカケに奥さん同士、子供同士が仲良くなったり、家族ぐるみの付き合いをしたりね。彼らがストレスを発散して気持ちよくプレーをしてくれることは結局、チームのためになるしね」と松中コーチ。野手だけではなくロドニー・ペドラザ投手など外国人投手とも交流を深めた。

 当時、バーベキューを食べた後に盛り上がったイベントも教えてくれた。それはスイカ割り。日本独特の風習は大いに盛り上がったという。「巨漢選手のスイカ割りは迫力十分。でも本当に喜んでくれた。スイカ割りは鉄板ネタだったね。外国人選手をバーベキューに誘ったら、ほぼ必ずやって盛り上がったかな」と当時を振り返る。

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 マーティンは開幕カードのホークス戦(PayPayドーム)から5カード連続で本塁打を打つなど開幕5連敗とスタートダッシュに失敗したチームを支え軌道に乗せるため攻守において獅子奮迅の働きを見せている。コーチだけではなく同僚選手など様々な人からアドバイスをもらい試合後に映像をチェック。データを振り返るなど打席で見せる豪快なスイングの裏側には日ごろの研究の成果がある。そして事あるごとにレジェンドの元を訪れ、膝を突き合わせながら打撃理論を話し合う。練習前、練習中、練習後、試合後。その光景をよく目にする。

 マーティンに目標を聞くといつも答える。「個人的な目標はない。チームが勝つこと。優勝すること。それしか考えていない。そのためにプレーをするだけ」。FOR THE TEAMで必死に努力し、色々な意見を取り入れ実践するマーティン。ホームラン後には必ずベンチ横のカメラに向かって「YES マーティン」のパフォーマンスを披露し、ベンチに戻ると「次も頑張りマーティン!」と仲間を鼓舞する。環境に適応し、研究を重ねチームのために尽くす姿はまさに松中コーチが現役時代に見てきた数多のチームの優勝に貢献した大物助っ人選手たちの姿とダブる。2021年、マリーンズのリーグ優勝のためには彼の力は欠かせない。

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