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鳥越元コーチの思いは今でも…ピンクに染まった球場に込められた“もう一つのメッセージ”

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/05/14
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我々人類が恐れるべき病は、決してコロナだけではない

 鳥越二軍監督が'18年から新天地に移ると、マリーンズでもピンクリボン運動の啓発活動が行われるようになった。そして、ホークスでは中村晃が先陣役を引き継いでいる。

「鳥越コーチの奥様が亡くなられたのは僕がプロ1年目の時でした。選手はみんなショックを受けました。この活動を通じて、1人でもそのような人が少なくなるように、自分もその活動に協力していければと思います」と話していた。

 今回のタカガールデーも昨年に引き続きコロナ禍での開催だったために、今年もまた選手たちが直接ファンにリーフレットを配布するなどの啓蒙活動が出来なかったのは残念。それでもNPO団体の協力もあり、PayPayドーム5ゲート大階段下には乳がん検診が受けられる検診車も設置されるなど限られた状況の中でも「ピンクリボン運動」を広める活動はしっかり行われていたし、来場者に配布された特別プログラムにも大きなスペースを割いて乳がん検診を受ける大切さが紹介されていた。

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PayPayドームの外では乳がん検診が受けられるようになっていた ©田尻耕太郎

 もう1年以上も新型コロナウイルスの脅威や猛威が世間の話題の中心となっている。適切に恐れることは大事だ。しかし、我々人類が恐れるべき病は、決してコロナだけではない。1つのものに注目するあまりに、ほかの様々なことで闘っている存在に目が向かないことも少なからず生まれがちだ。

 乳がんも数多ある病の中の一つ。ピンクに染まった球場は、常に視野は広く、と改めて考えさせられる機会になるのではなかろうか。

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