速い！　でもそれだけじゃない　私がファイターズ・五十幡亮汰を推す理由

文春野球コラムペナントレース2021

2021/06/08

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常に抜かず全力でプレーする選手

　他にも推しポイントがあります。

　それは「常に先の塁を狙う意識」。これまで彼のプレーを見てきて、その意識が相当高い選手なのだと感じています。次を狙う姿勢、そして全力で走ることは、相手にプレッシャーをかけることにもなります。隙があればそれを突く事ができます。それが五十幡の真骨頂かなという気がしています。巨人戦で一塁手のスモークが五十幡の送りバントを悪送球したのは、そういうのもあったんじゃないかな。これは大きな武器ですよね。

　前述のソフトバンク戦の三塁打、滑り込んだあとに身を翻してすぐ立ち上がったのも一例ですが、プレー終わりにすぐ次のプレーを考えている、そんな印象です。相手に隙があれば次の塁を狙うことを常に考えているのでしょうね。そういえば、ライト前ヒットを打って処理が緩慢と見るや一気にセカンドを狙った場面もありました。結果はアウトでしたがナイスチャレンジだったと思います。そういう姿勢が良いなと思うのです。

　広島戦、巨人戦ではともに初回から「先頭五十幡がヒットで出てすかさず盗塁を決め進塁打と内野ゴロで得点」というそつのない攻撃が見られました。ワンヒットで1点。相手にとってこんな嫌な先頭打者いないんじゃないかな。ともするとヒット3本打っても点が取れないなんてこともある近年のファイターズにとって、こういうことが出来る選手は貴重ですよ。

　そう、最近はめっきりやられる側になっていますけども、ファイターズって、打てなくても1点を取る野球、守り切る野球、相手の隙を突く野球をやっていたチームなんですよね。五十幡はそんなことを思い出させてくれます。

　日本ハム原田豊二軍監督は、五十幡を「常に抜かず全力でプレーする選手」と評していました。今年は二軍のチームでは「凡フライでも一塁まで全力で走る」を決め事にしているそうですが、五十幡は三塁付近まで走っていることもあると言います。そう聞くと、実際に球場に行って「凡フライでどのあたりまで進んでいたか」確認してみたくなりますね。

　一方、常に全力プレーのせいで怪我と隣合わせなのが不安材料ではあります。スタメンを外れる試合もあり、首脳陣も休ませながら使っていく方針に見えます。もっと試合に出てほしいなー、全力過ぎなくてもちょっと抜いて、ときには五十幡じゃなく四十幡くらいでも良いんじゃないかなどと思ったりもしますが、それだと彼らしくないですかねやっぱり。三十幡くらいになると味噌バターラーメンみたいで北海道っぽくなる気がしますが（？）。

　打って走って守って、高い意識でチームに貢献していく。常に次を見据えて全力でプレーする。五十幡がそんな五十幡らしいプレーを続けてくれれば、チームは絶対いい方向に進むんじゃないかなと思っていますし、一軍でずっと見ていたい選手です。

　代替選手からスタートした彼のキャリアは、「余人をもって代えがたい」そんな存在になっていく予感にあふれています。

　正解は、五十幡亮汰。私の推し選手です。