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荒木雅博コーチと二人三脚で高みを目指すドラゴンズ・高松渡の“走塁こそ自分の生きる道”

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/07/11
note

高松にとって、走塁こそ「自分の生きる道」

 高松はYouTubeで荒木コーチの“神走塁”動画を見て、走塁へのイメージを膨らませています。

「“神走塁”の動画はよく見ています。こういうシチュエーションではこういうことがあるんだな、と新しい発見にもなりますし、自分がランナーの時にもいろいろなシチュエーションを想定しています。ただ、“神走塁”と呼ばれるものはそんなに多くできるものではないので、僕自身はまず1つでも多くの盗塁を決められるようになりたいです」

 高松にも“神走塁”と言われたプレーがありました。4月22日、横浜スタジアムで0対0の9回に一塁ランナーの代走で登場。ショートからファーストへの送球がそれて、もたついている間に一挙ホームまでかえってきた場面のことです。この場面について荒木コーチに聞いてみました。

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「DeNA戦のあの走塁は面白いなと思った。自分の中で『次の塁まで』と思うのではなく、『ランナーコーチは回すかもしれない』と考えて、次の塁、次の塁を目指した走塁だったよね。ただ、まわりの人たちには“神走塁”と言ってもらえるけど、相手のミスや油断がなく、きっちりプレーされればできないプレー。自分が守る立場になったときに、『外野だったらこういう追い方をしたらいけないな』とか、そういうことも感じ取れるようになってほしいね」

 走塁こそ高松にとってプロ野球での「自分の生きる道」。そう言い切る荒木コーチの言葉がとても印象に残りました。

高松渡

 私の話になってしまいますが、私も現役時代、プロ野球選手として生きるためにサイドスローに変えました。ゲーム終盤の大事な場面で、各球団の左の強打者を抑えることが自分の仕事。それが「自分の生きる道」だと思ってプレーしていました。

 スタメン出場することもある高松ですが、主な出番は試合終盤のどうしても1点が欲しいときにやってきます。代走を告げられると、自分の出番がわかっていたかのようにベンチから飛び出します。シーズンの最初の方はまだ自信がなさそうな感じもありましたが、すっかり頼もしくなりました。いつでも次の塁を狙っているぞ、という姿勢は、相手バッテリーにはかなりのプレッシャーを与えているのではないでしょうか。

 私が現役時代には巨人に鈴木尚広さんという走塁のスペシャリストがいましたが、代走で出てくると盗塁を警戒しなくてはいけないので、クイックもできる限り速くしないといけません。打者だけに集中することができず、すごく嫌なランナーでした。また、代走で出てきた時の球場の盛り上がりも、投げていてすごくプレッシャーになりました。

 高松が塁に出るだけで球場の雰囲気を変えてしまい、ダイヤモンドを走りまわれば走るほどチームの勝利が近づく。チームの勝利には欠かせない選手になってほしいと思います。

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