「自宅にマンガ部屋を作りたいですね」
このように野球と同じくらいマンガについていつも熱く語ってくれる藤原。野球漬けの厳しい練習で知られる名門・大阪桐蔭高校時代。日々の中、マンガの存在でリフレッシュすることが出来た。親にも差し入れを頼むときは食べ物や服とかではなくマンガ。自宅にあるマンガや新刊の購入を頼み、差し入れしてもらうのが一番の楽しみだった。高校時代は通常の練習の他に夜間練習なども行い自由時間があるのは夜の11時ぐらいからだったが、その時間はほぼマンガを読むことに費やした。ほんの少しの自分だけの時間にマンガと向き合う。一瞬だけ野球と離れる時間。だから当時、読んだ「トリコ」などの作品は思い出深く、今となっては、その時間が懐かしい。
今でも実家の藤原の自室には集めたマンガ2000冊が大切に残されている。藤原には夢がある。いつか活躍して自宅を持つことだ。
「自宅にマンガ部屋を作りたいですね。実家にあるマンガと寮にあるマンガをその部屋に集めてのマンガ部屋です。一日中、好きな時に好きなマンガを読める部屋を作りたいです。それが夢ですね」と藤原は目を輝かせる。
6月を借金1で終え、なかなか波に乗れなかった千葉ロッテマリーンズは藤原が7月に一軍昇格をすると勢いを取り戻した。5連勝スタート。その中心に背番号「2」がいた。
開幕スタメンで起用されるなど3年目の飛躍を期待されて迎えたシーズンだったが打率.161と低迷し4月22日に一軍登録を抹消された。当初、誰もがイメージをしていた開幕からの飛躍とはならなかったが再び現れると生き生きとした姿でファンを魅了している。打席での雰囲気。凛とした面構え。隙あらば次の塁を狙うスピード感あふれる走塁。そして鋭いスイングから繰り出される積極的な打撃。すべてが強く、美しい。
そんな若者はマンガが大好き。好きなマンガをあえて5つ選ぶなら「ワンピース」、「キングダム」、「トリコ」、「ワンパンマン」、「俺だけレベルアップな件」だそうだ。そしていつかは自宅にマンガ部屋を作りたいと夢見ている。きっとファンにとってグラウンドでの姿とマンガ好きな一面のギャップはたまらないのだろう。これもまた藤原恭大の魅力。後半戦も目が離せない存在だ。
梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)
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