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家族を養うために日本語を学ぶ選手もいる

 様々な生徒との思い出があるが、ある選手の日本語への取り組みは特に記憶に残っているという。

「ブルペンキャッチャーの方々は通訳としてのスキルが身に付けば日本にいける可能性も高まるので、一生懸命授業を受けていました。ほぼ完璧な方もいて僕も日本語の間違いを指摘されるほどでした」

 家族を養うために日本語を学ぶ選手もいる。必死で生き抜く選手たちの姿がそこにはあった。

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 みんなと一緒にアカデミー内の果物をもいで食べたのものいい思い出だ。

アカデミー内にいるこの牛はまさかの「赤色」を見ると突進してくる癖があるそうだ。カープと一番相性の悪い牛である ©ザ・ギース尾関高文

 最終日にはお別れ会ということで選手たちが切川さんと一緒に野球を楽しみ、野球選手になりたかった切川さんは夢を叶えてもらったと嬉しそうに話してくれた。

コルニエル選手らみんなからもらったお別れのサインボール ©ザ・ギース尾関高文

 カープアカデミーで人生観が変わるほどの経験をさせてもらったと言う切川さん。現在は地元広島の企業でスペイン語を生かす仕事についている。インターン生の中には頻繁に停電してしまうドミニカの現状を見て、いつかドミニカに恩返しできるようにとインフラ整備の会社に就職した方もいる。

 カープが地元のインターン生を受け入れ、そのインターン生はカープで得たものを広島に返していく。なんと素晴らしいシステムだろう。カープは広島とともにあり、広島はカープとともにあるのだ。

 今も日本語を教えていたコルニエル選手らの活躍は欠かさずチェックするという桐川さん。今日も何処かでドミニカの選手の活躍を、若き日本語の先生たちが見守っているに違いない。

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