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オリックスが優勝したのに、いまひとつ気が晴れない理由に関する一考察

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/11/08

「先生、また事務室に取材の依頼来ていますけど、どうしますか(笑)」
「あ、ごめん、先方に連絡先教えといて。ホンマ、仕事増やしてごめん」

 連絡に変な(笑)が入っている。ということは、これは韓国関係じゃなくて、オリックス関係の取材の依頼に違いない。当たり前だけど、オリックス関係は自分の大学教員としての本業ではないから、その取材の取次で、ただでさえ忙しい事務職員の皆さんの仕事を増やしてしまうのは、だ申し訳ないし、(笑)が(怒)に代わる日が来なければいいと願っている。メディアの皆さん、メールアドレスは個人ホームページ上にあるので、できれば直接連絡をいただけると嬉しいです。

取材対応がパターン化しつつある事への困惑

 ともあれ、オリックスが優勝した後、いや優勝が決まる少し前から、こんな日々が続いている。仕事柄、メディアの取材を受ける事はこれまで時々あったし、オリックス関係の取材もなかった訳ではない。だけど、これだけまとまって趣味(念のために言っておきますが、オリックスは趣味です)、というかプライベート関係の取材が来ることは珍しい。どうせだったら、もう一つの趣味の自転車関係の取材も来るといいのに。そういや、昔、とある編集者の方の前でそうぼやいたら、「先生どう頑張っても、『Number』の取材は来ないですよ」と言われたなぁ。いや、50代半ばのメタボが自転車に乗ってる姿をグラフィック化してどうすんねん。文藝春秋潰れるぞ。

 とはいえ、困惑する事もある。一つはこちらの取材対応がパターン化しつつある事だ。例えば韓国の大統領選挙関係なら、政治の問題もあるし、経済もあるし、国際関係やその中での日韓関係の問題もあるから、様々な側面から答えることができる(一応、こっちが仕事です)。だから、複数のメディアから似たような依頼が来ても、A社には経済関係で答えて、B社には国際関係中心でコメントしよう、と使い分けする事もできる。そうしないと、同じ日の新聞に似たようなコメントが並んで、メディア側にも迷惑がかかってしまうし、上手く使い分ければ、自分の様々な意見を同時に伝えることもできる。

 だが、オリックス関係の取材に対してはそうはいかない。所詮はただのファンなので、特段の情報を持っている訳ではないし、そもそも飽くまでファンはファンである。「オリックスが優勝した感想を」そう聞かれた時、答えられるのは「嬉しいです」という言葉しかない。というより、それ以外の感想があったらおかしいだろ。序に書いておけば、あの「じゃあ、ユニフォーム着て、メガホン持って、はしゃいでる感じでお願いします」と言われて写真撮られるのも、最初はちょっと面白かったけど、流石に飽きて来た。そもそもその写真の撮り方だと、どう撮っても同じような写真になるじゃないか。研究室で写真を撮ると、後ろに山積みになっている論文執筆中の資料とかが写り込んで、配偶者様に「研究室が散らかってる」と怒られるんだよ。メディア毎に、わざわざ自宅から違う年のオリックスのユニフォーム着て、細かい配慮をしている側の苦労も考えてくれよ。このままだと、お宅の会社の外信部から依頼されてる原稿が落ちても知らないからな。

 まあ、でもやはり優勝は優勝。そんなどたばたした日々が続くのも、お祭りの様で確かに楽しい。新著のゲラの校正が進まず、書きかけの原稿を督促する、既に怒りを超えて懇願になってしまっている編集者の方からの電話がかかり、Googleカレンダー上に「原稿の締め切り日に、東京で会議に出ながら、韓国のオンライン・シンポジウムに出席し、大学院生の指導をしつつ、CSを現地で観戦する」という、どう考えても矛盾しているとしか思えないスケジュールが、堂々と書かれていても、楽しいものは楽しい(いや、ホンマどうなる>俺)。