伊藤智仁投手コーチはデータを元に根拠を持った指導をしている
それに加えて、トモさん(伊藤智仁投手コーチ)がデータ分析を元に、根拠を持った指導をしているという話を聞いて、意識だけではなくその辺りの違いも感じました。何が良くて何が悪かったかというのを数字で見ることができれば、今度は差分が見えてきます。いろいろな数字を取ることで、良かった時と悪かった時の比較もできますし、どの数値が悪くなったからどの数値が下がったなどの関係性も見えてくるので、そうすると自分が何をすべきなのかというのが明確になってきます。僕の現役時代にこれだけのデータがあれば、と思いますね(笑)。
チーム力はヤクルトのほうが上
11月20日に始まった日本シリーズに関しても、僕はヤクルトが勝つチャンスは十分にあると思っていて、第1戦でその思いは強くなりました。オリックスの山本由伸君を相手に打線があれだけ粘って、奥川(恭伸)君よりも早く降板させたわけです。あれを見て、チーム力という点ではヤクルトの方が上ではないかと思いました。
第2戦でもオリックスの宮城(大弥)君があれだけのピッチングをしていたのに、ワンチャンスをモノにして勝ったのも、本当にすごいなと思いました。何よりケイジ(高橋奎二)が133球で完封ですから。高津さんは二軍監督の時から目をかけてケイジを育ててきていましたし、それを見てきた僕らからしてもすごく印象深い試合でした。
石川、石山に思い入れ
もちろん選手には全員、頑張ってほしい気持ちがあります。それが大前提ですけど、やっぱり石川(雅規)さんや石山(泰稚)には思い入れがあります。大学の先輩でもある石川さんには本当にお世話になりましたし、石山とはブルペンで一緒にやってきましたから。第3戦ではその石山が中継ぎで勝ち投手になって、第4戦では石川さんも先発で日本シリーズ初勝利。もう最高すぎましたね。あとは6年前の借りを返して、日本一になってくれることを願うばかりです。
ヤクルトは多くの人に喜びや元気を与えている
引退した今、外からヤクルトを見るようになって、中にいた時は気付かなかったことがたくさんあると実感しました。ヤクルトの優勝にしても、その1つのことですごくたくさんの人が喜びを分かち合える。それだけでもすごく大きな価値、大きな影響を生んでいると思います。選手は一生懸命、野球をやることが役目なのですが、結果的にこれだけ多くの人にたくさんの喜びや元気を与えるというのは、現役の時よりも今の方が感じます。優勝することの意味というのが、いまさらながらよく分かったように思います。
来年以降はAクラス常連に、そして連覇へ
個人的にも、今回このような機会をいただけたのもヤクルトが優勝したからですし、いろいろなところに影響を与えているのだなと感じています。今年の戦いを見ていると、来年以降もすごく期待が持てるというか、これからAクラス常連になるのではないかという印象を受けます。まずは今年、日本一になって、来年以降も連覇するようなチームになってほしいと思います。それがいちOB、いちファンとしての願いです。
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