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心が折れそうなライオンズファンへ。今こそ思い出したい“栗山巧の言葉”

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/18
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「全員」で、最後まで戦おう

 先日ライオンズナイターのインタビューで、鈴木将平選手がこんなことを言っていた。8月にできた自身の応援歌に関してだ。

「ライオンズは活躍した選手じゃないと(応援歌が)できないので、やっとここまで来られたなと感じて嬉しかったですし、入団した当初から目標にしていたので嬉しかったです。『期待を乗せて』というのをファンの方がわざわざ歌ってくれるので、そこに応えたい気持ちもありますし。いい歌詞だなと思いました」

 今は球場では歌えないかもしれないが、歌詞に込めた想いは間違いなく選手に届いている。応援は、たとえそれが言葉でなくても、必ず届いている。そして、力にしてくれている。

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 ファンの力と言えば、栗山巧選手もこう言っていた。8月23日のロッテ戦、2本のタイムリー、2打点の活躍でヒーローインタビューに立った時のこと。「優勝に必要なこと」を問われて、こう答えた。

「運も必要ですし、何もかもが必要やと思うんですけど、やっぱり最後は必ずみんなで勝つんだっていう、ファンの皆さんも含めてみんなで勝つんだっていう、そういう気持ちが大事やと思います」

栗山巧

 過去優勝するチームには、選手間はもちろん、ベンチ、首脳陣の不思議な一体感があった。それだけでなく、スタンドのファン、テレビ観戦のファン、球団職員の方々、球場のスタッフ、そして我々メディアまでもがそのうねりに巻き込まれて、大きな一つの波になった。

 プロの世界、良い選手はライオンズにだけいるわけではない。強いチームは他にもあるだろう。頑張れば勝てるというものでもない。

 だから、ファンにできることは、その「全員」に参加して、大きな集団にすること。そして、最後の最後まで戦うことを諦めないことだ。

残り2週間、野球を楽しもう

 これまで私たちは、選手のプレーや劇的な勝利に心を動かされていた。だから、チームが苦しい今こそ、下を向くのでなく、上を見上げるでなく、真正面を見据えて応援を届けたい。

 選手は身体的にも精神的にもしんどいだろう。でも、今のこのヒリヒリ感を楽しんでほしい。それは無理に笑ったりとかではなく、目の前の一球に集中して、目一杯相手に立ち向かっていってほしいということ。

 選手も人間なので、キャラクターもあるだろうし、本気になることに照れを感じることもあるかもしれない。でも今はそんなことを言っている場合ではない。せめて、本気の現れを見ていたいのだ。

 泣いても笑ってもシーズンは残すところ2週間。この2週間、野球にどっぷり浸かって、野球を楽しめないと、その先はない。選手は懸命な戦いを見せてくれるはずだ。我々も目一杯、野球を楽しもうじゃないか。

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