今シーズン、12球団の中でも大型補強のイメージが強い福岡ソフトバンクホークス。

 移籍組の近藤健介選手が躍動し、松田宣浩選手が抜けたムード作りのポジションを嶺井博希選手が補う事も多く、ロベルト・オスナ投手が剛速球でPayPayドームの観衆を魅了している。

 他球団からホークスに来た選手やOBに尋ねると「ホークスの施設はドームもファーム施設があるタマスタ筑後も『マジでエグい』と聞く事が多い。こんなに選手のトレーニングや生活の事が考えられた至れり尽くせりな施設は他球団には無いとも聞くし、他の球団の選手に口頭で話してもホークスの関係者しか立ち入ることが出来ない所が多いから絶対に全部は伝わらないです」と言う。

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©加藤淳也

 また、「ホークスからよそのチームに出たいと思う選手は圧倒的に少ないはず」と野球界の人に聞いたことがある。それは球団施設の魅力だけではない。

 飛行機や新幹線での移動が多い野球選手にとって、福岡空港や博多駅へのアクセスが良いというのは時間の無駄が省ける点で大きいし、シーズンオフにゴルフをする場合にも福岡であれば名門コースが近場に点在するという魅力もあるという。

 そしてなんと言っても年間を通して安くて美味しい飲食店がひしめき合っているという魅力がある。コレに関しては福岡に来る芸能人の行きつけの店の多さでも分かる。いわゆる福岡に沼った選手は福岡にマイホームを購入し、引退してからもこの街で生活をするケースも少なく無い。

イカの活作り ©加藤淳也

 福岡にキャンペーンで来た芸能人へのインタビューで「何か美味しいモノを食べましたか?」という文言が100パーセント出てくるが、それはインタビュアーの引き出しが枯渇しているわけではなく、それだけ福岡が日本屈指のグルメ街ゆえの事なのだ。そして何かしら美味しいモノアンサーが返ってくるのもこの街の魅力だと言える。

 しかし、来訪した芸能人の多くは福岡に住むことはなく、日帰りか1泊2日程度でこの地を後にする。

 実に前置きが長くなったが、筆者も福岡のグルメには誇りを持ち、ウマイ店を尋ねられた時の引き出しは何通りも用意している口である。

 そこでだ、今シーズンからホークスに加入したオスナ投手について記したい。

 彼は入団の時のインタビューで「ラーメンが大好き」と公言しているのだ。ならばこの記事をオスナ投手に届くように書きたいと思ったのだ。どなたか間接的でも良いから、こんな記事があると彼に伝えてはくれないだろうか(笑)。

オスナ投手 ©時事通信社

オスナ投手には食べてもらいたい「基本中の基本」

 まずは福岡市の「This is 豚骨ラーメン」と言っても過言では無い基本中の基本を推薦したい。野球で例えるならば“キャッチボールを正しくしましょう!”みたいな豚骨ラーメンの基本的な名店だからこそオスナ投手には食べてもらいたい。

 ふくちゃんラーメン 田隈本店 火曜日定休
 福岡県福岡市早良区田隈 2-24-2
 092-863-5355(予約不可)

 創業から45年以上経った今も尚、店の外には入店を待つ人が常にいる人気店。店に着いたらまずは名前と人数を記入。行列に並ぶ必要は無いが呼ばれるまで順番を待つというのが最近のスタイルだ。筆者は16時頃に行くことで待ち時間を最小限にするようにしている。

ふくちゃんラーメン外観 ©加藤淳也

 故・伊丹十三監督の映画の中でも、福岡から来た青年に話しかける夜の蝶の「ふくちゃんラーメン好きだったなぁ」といったニュアンスの台詞があるほど福岡を代表する豚骨ラーメン。3代目店主の榊さんは寡黙に麺を茹でながらも広い視野で店内を見ているラーメン職人だ。ホークスで言えば甲斐拓也選手のような存在といえよう。

 これだけのレジェンドクラスになっているものの、休日になるとアチコチのラーメン店に足を運んで今でも他店のラーメンを味わう探究心を持ち合わせる店主。

 日々、珠玉の一杯を作りだす条件を整えている。

ラーメン ©加藤淳也

 豚骨ラーメンの実食数が増えていくと、いつしかスープの温度というのが気になりだす。ぬるい店もあれば熱い店もあるが、その要素として麺の湯切りの技術が挙げられる。湯の水面に近い位置でしっかり湯切りをすればぬるくはならないのだが、ふくちゃんラーメンは水面近くで強めにザルを鍋のふちに当てて湯切りをする音が店内に響き渡るのも名物だ。

 随分前にはなるが、大将に手の写真を撮らせてもらったことがある。

 ラーメン職人の手を凝視することなどは普段無いと思うが、美味い店には積み重ねたモノがあるのだ。オスナ投手には是非とも大将の目の前のカウンターで食べて大将の手の豆を見て欲しい。

ふくちゃんラーメンの大将の手 ©加藤淳也