なぜゴール前で絶好のチャンスに見えるのに、選手はシュートを打たないのだろうか。スタジアムやテレビの前で「打て!」ともどかしさを感じた経験は、誰にでもあるはずである。しかし、その一見消極的な判断の裏には、統計学が導き出した驚くべき勝率のセオリーと、カウンターを恐れる緻密なリスク管理が潜んでいるのだ。
スポーツライター・木崎伸也氏の著書『世界一やさしいサッカーの見方 40個のポイントで試合が劇的におもしろくなる』(朝日新聞出版)より一部を抜粋し、サッカー選手がシュートを打てそうなのに打たない理由を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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絶好の得点チャンスでシュートを打たない理由
「(シュートを)打て!」
サッカーを見ているときに、誰もが一度は口にしたことがあるフレーズではないでしょうか。最近は「足を振る」というシュートの動作にちなんで「振れ!」という人も増えている印象があります。ゴールに近づいていて、打てそうなのに打たない。
ファンやサポーターにとって、サッカーの七不思議のひとつでしょう。
日本だけでなく、ヨーロッパのスタジアムでも「打て!」という声をよく耳にします。
なぜ打てそうなのに打たないのか?
その心理は、先ほどの「縦パス」のリスクと基本的に同じです。
シュートが入って得点になったら万々歳ですので、入らなかった場合を考えてみましょう。問題になるのは、シュートがブロックされたときです。
シュートの跳ね返りがどこへ行くかを予測するのは難しく、「ガチャガチャが回された」ような混乱状況が生まれます。
相手に渡ったときにすぐに奪い返せればいいのですが、そうでなければカウンターを食らう危険性があり、カウンターを防げたとしても自陣に押し下げられてしまいます。
こういうリスクがあるので、シュートを躊躇してしまうのです。



