11月25日、東京・千代田区の都道府県会館。1週間前に劇的な選挙戦を制して兵庫県知事の座に返り咲いた斎藤元彦氏(47)は、約60人の報道陣に取り囲まれていた。笑顔はなく、額には脂汗が浮かぶ。
「公職選挙法に違反するような事実はないと私は認識しています」
約10分間で10回も同じフレーズを繰り返し、しまいには苛立った記者から「それは分かったから!」と遮られるのだった。
■《連続報道》兵庫県知事・斎藤元彦
#21 今回はこちら
混乱のきっかけは、11月20日に投稿されたメディアプラットフォーム「note」の記事だった。
「筆者は、兵庫県西宮市のPR会社『merchu』代表の折田楓氏(33)。記事は『兵庫県知事選挙における戦略的広報』と題され、知事選出直しを決めた斎藤氏が、同社の会議室で折田氏らと打ち合わせをしている写真などが掲載されていた。斎藤氏が同社に、知事選での広報戦略立案を依頼したと読める内容でした」(社会部記者)
記事によれば、折田氏は斎藤氏を応援する公式SNSアカウントを作成・運用し、ハッシュタグ「#さいとう元知事がんばれ」の拡散にも寄与したという。これが、公職選挙法が禁じる「インターネットを利用した選挙運動の対価としての報酬支払い」に該当するのではと指摘されたのだ。
「斎藤氏は『法的に認められているポスターなどの制作費として70万円を支払ったが、SNS運用は斎藤事務所が主体となって行った。折田氏はボランティアとして参加した』と主張し、火消しに走りました」(同前)
しかしSNS運用を折田氏が行っていたことは、自身が投稿で“自白”している。さらに、「会社としてボランティアで請け負っていたのであれば『労務の無償提供』にあたり、政治資金規正法が禁止する企業から政治家個人への寄付に該当する可能性がある」(神戸学院大教授の上脇博之氏)。斎藤氏はどう弁明しても苦しい立場なのだ。
渦中の人となった折田氏は、一体何者なのか。
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source : 週刊文春 2024年12月5日号