【前回までのあらすじ】大宝テレビのディレクター・加藤大地が大御所芸人のウォッチャー目黒にレイプされた。同局のニュースキャスター・鷲尾粧子(50)と、加藤の親友の「週刊文春」記者・速水理央(34)は各々この件をニュースにしたいと考え、理央は実際に取材を進める。同時に理央は、高校時代に親友二人が揃って飛び降り亡くなった過去に苦しみ続けていた。

 

第1回はこちら

前回はこちら 

 今は加藤くんのことで手いっぱいだから仕方ない――と綾香は慰めてくれたが、そうとばかりも言えないのだった。いつまでも悪夢に追いかけられるのは、結局のところ自分が逃げているせいだと、理央にはわかっていた。

 高校時代のあの事件を細かいところまで思い起こそうとするたび、こめかみや背中にいやな汗が滲んでくる。それでも考え続けていると胃が締めつけられ、動悸がして呼吸が速くなる。思い出すことを心と身体が拒否している――逆に言えばそれは、思い出してしまったら自分が損なわれるようなことが隠れている(しるし)なのかもしれなかった。

 翌朝早く、綾香が眠い目を擦りながら出勤していった後、理央は電話を一本かけ、身支度も早々に自分も家を出た。午後には鬼島や編集長と今後の動きについて話を詰める予定だから、遅くともそれまでに出社していなくてはならない。時間が惜しかったので新幹線を使い、高崎で在来線に乗り換えた。

 実家に顔を出すのは久しぶりだ。前回は二年前の正月だった。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

  • 3年プラン

    59,400円一括払い、3年更新

    1,650円/月

有料会員になると…

スクープを毎日配信!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

  • 0

  • 1

  • 0

source : 週刊文春 2026年4月2日号