5月のことを理解するのに50年以上かかった。

 バランスの欠けた僕の感覚で、5月という月は存在感が薄かった(極私的感想なので悪しからず)。春でも夏でもない。初夏でさえない。敢えて言えば、春と梅雨の繋ぎ。中途半端の極みだった。

 4月は、大スターだ。新生活、新年度、まごうことなき春、春の只中。そして、花の花形、桜の季節だ。6月は梅雨。雨がシトシトと随分分かり易い。それに比べて5月は、せいぜい鯉のぼり(雛祭りに比べると少し雑に扱われている印象)と、五月病くらいだ。『となりのトトロ』のサツキとメイがかろうじて5月を印象づけている。あの姉妹がいなければ5月など4月と6月に占領、分割統治されてしまっていただろう。

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source : 週刊文春 2026年5月21日号