昔は通勤電車の中でもふつうにタバコ吸ってた、なんていってももはや信じられないが、昔はシーズン中はゴールデンタイムで巨人戦全試合地上波生中継していたというのも信じられないかも。今、地上波におけるプロ野球(というか巨人軍)の地位の下落ぶり。「東京ドームの巨人戦」がNHKで中継された時の衝撃。こんなドル箱を日テレが手放すとは。そんなもんはすでにドル箱でもなんでもないのか。ま、なんでもかんでもプロ野球、セ・リーグ、巨人軍、なのが狂ってたと思いますが。今の時代に物心ついていたら、これほど巨人を憎み阪神なんか応援する生きづらい人生は送っていなかったと思う。
それでもクライマックスシリーズファイナルステージぐらいは中継してくれます。ヤクルト対巨人。
しかしこの中継がそもそも8時開始。東京じゃ7時から開始だったらしいですが地方(うちは関西)だと8時だったんですよ! 阪神タイガースでも出てりゃ7時から放送したのかもしれないが、いや、プロ野球黄金期だったら「タイガース出てたら試合開始30分前から中継、ヤクルト巨人だって7時からやるに決まってた」のである。
実はこの中継が始まる前、近所の中華屋でラーメン食べてたらテレビでこの試合をやっていた。BSの中継。それが、番組のつくりも、アナウンスも解説も、場内の音もシーンとした感じで、いくら入場制限があり鳴り物も声援もないといってもこの静けさはどうなのか。BSのスポーツ中継らしい落ち着きとはいえ、もうちょっとなんとか……。
と思いながら地上波を見始め、BSよりマシとはいえ(地上波のアナウンサーというのは、喋り声に華があるということがよくわかりました。いつもはそれがうるさいが、こういう時には多少助かる)、何か淡々と進む。試合展開が地味だったというのもあろうが、この一戦でクライマックスシリーズ優勝が決まるかもしれないというのに、なんだこの地味さ。古いことを言う年寄りのようだが、神宮球場というのは「場内に広告を掲げない球場」として「神宮」の格を保っていたのに(私が通っていた頃はそうだったのです)、今見ると派手な広告がベタベタとあらゆるとこに貼り付いていて、それもまた、もの寂しさを余計感じさせた(年寄りのコジツケです)。
9回終わって同点なら引き分けコールドでヤクルトの優勝、というところで8回まで同点。巨人最後の攻撃回、CM明けたらもう2アウトになってた。笑ってしまった。そして最後のバッターが暴行事件の中田翔。空振り三振ゲームセット。なんとも中途半端な感じの中継であったが、まあ巨人が負けて原監督の目の下真っ黒のさえない表情を見れたから私は満足だ。
『プロ野球セ・クライマックスシリーズ ファイナル 第3戦 ヤクルト×巨人』
フジテレビ系 スペシャル番組
https://www.fujitv.co.jp/sports/baseball/climax/
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source : 週刊文春 2021年12月2日号