ヤクルトが20年振りの日本一に輝いた日本シリーズ。1点差ゲームの連続の中でも劇的だったのが延長12回、5時間に及ぶ熱戦となった第6戦だった。
その試合の最後の最後に決着をつけたのは、ヤクルトの代打の切り札・川端慎吾内野手(34)である。前回、日本シリーズを戦った2015年には首位打者として出場した川端だが、その後は腰痛に苦しみ、二度の手術を受けるなど、低迷が続いてきた。しかしようやく今季は代打の切り札として本格的に復活を果たし、見事にチームの日本一にも貢献することになった。
しかも実はリーグ優勝を決めた試合の打席で右太ももの肉離れを起こしており、巨人とのクライマックスシリーズ(CS)、この日本シリーズとまともに走れない状態での出場だったという。それでもどうしても川端の“ひと振り”を必要と考えた高津臣吾監督と、「走塁は一塁まで限定」という約束で出場。巨人とのCSでは第2戦で菅野智之投手からシリーズの流れを決めた押し出し四球を選び、この日本シリーズでも優勝を決める左前安打を放って、切り札としての存在感を示した。
そんな川端と同じ“野球遺伝子”を持つ選手が、DeNAにドラフト1位で入団した小園健太投手(18)である。
実は川端の父・末吉氏は知る人ぞ知る少年野球の指導者で、いまも大阪・貝塚市で「貝塚ヤング」という少年野球チームの監督を務める。そこで育ったのが小園なのである。
「川端はもちろん、女子野球の名選手として知られる妹の友紀さん(32)も、末吉氏の手ほどきを受けて才能を開花させた一人。小園が市立和歌山高校でバッテリーを組み、ロッテにドラフト1位で入団した松川虎生捕手(18)も、貝塚ヤング時代からのコンビでした。『こう投げろ』とか『こう打て』とか、決して型にはめないですが、ちょっと違った方向に行きそうになると、すかさず見抜いて軌道修正してあげられる。その修正能力の高さが、才能のある子供の能力を伸ばすことにつながっていると思います」(在京球団スカウト)
19年、20年オフには2年連続で川端と一緒に親子自主トレを行って、息子のバッティングの軌道修正もして復活への手助けもしている。
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source : 週刊文春 2021年12月16日号