日本シリーズは4勝2敗でヤクルトがオリックスを下し、20年ぶり6度目の日本一に輝いた。6試合中5試合が1点差。勝負が決まった第6戦も延長12回の大熱戦の末、ヤクルトが切り札・川端慎吾内野手の決勝打で勝負を決めた。
下馬評のオリックス有利を覆したヤクルトの勝利。ポイントは、実はサヨナラ負けした第1戦のヤクルト先発・奥川恭伸投手(20)の投球だったと思う。
この試合で奥川はオリックスのエース・山本由伸投手(23)と投げ合い、互角以上の内容で、山本を先にマウンドから降ろしている。
「球界では球数100球未満で完封することを指す“マダックス”という俗語があります。アトランタ・ブレーブスなどで355勝を挙げて殿堂入りしたグレッグ・マダックス投手が、現役時代に13度も達成。それにちなんだ俗語ですが、奥川はクライマックスシリーズの巨人戦を98球で完封。“マダックス”を達成しています」(スポーツ紙デスク)
シリーズ第1戦の投げ合いでも、ヤクルト打線の粘りで球数を増やしていった山本に対して、奥川は小気味よくオリックス打線を料理。5回終了時点で山本が95球も投げさせられていたのに対して、奥川の投球数は71球と、20球以上も少なかったのである。
山本といえば最多勝や防御率だけでなく、パ・リーグの投手部門のタイトルを総なめして沢村賞を受賞、今夏の東京五輪でも金メダル獲得の立役者の1人となった日本を代表する大エースだ。その山本の存在が、下馬評のオリックス有利の根拠でもあった。確かに初戦でも結果的には6回1失点と文句のない投球だったが、その山本を奥川が内容でも上回っていたのである。
奥川も7回にソロ本塁打を浴びて同点で降板。試合はヤクルトが8回に2点を勝ち越しながら、9回に守護神のスコット・マクガフ投手が打ち込まれて逆転サヨナラ負けという展開だった。しかし「山本で2勝」を計算していたオリックスにとっては「山本で勝った」のではなく「山本で負けなかった」という試合だった。
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source : 週刊文春 2021年12月09日